朝日文庫刊。週刊朝日編。「いま、戦争を考える」シリーズ。
これもネタが古いです。1965年の週刊朝日で、戦後20年を記念して募集した手記のなかから、厳選した25編と、おそらく単行本化した時に足した25編を合わせて50編で1冊にまとめたものと思われます。
読んでて気になったのは、アジアで広範囲に行ったはずの虐殺に関わった手記が出てこなかったこと、圧倒的に多いのは、現地の人といかに手記の作者が温かい交流を持ったかという美談に近いものです。1965年という時代が、まだ、そうしたことを率直に言える時代ではなかったのかもしれません。そう考えると、この本は「いま、戦争を考える」と言いながら、日本人が敗戦後、あの戦争をどのように語ってきたかを人知れずあぶり出すのに役立っているとも言えそうです。
かれこれシリーズも4冊目になりましたが、「いま、戦争を考える」のでは遅いように思うのです。だって、60年以上も経ったのに、国際社会が納得できるような史観をいまだに打ち出していないのだから、うやむやにしたまま、60年以上が経ってしまったのだから、喉元過ぎればなんとやら、水に流して忘れましょう、の精神で、このままうやむやに流してしまいそうな気がします。
そうして、同じ過ちを繰り返すんじゃないだろうかという気がします。
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