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朝日文庫刊。多田実著。「いま、戦争を考える」シリーズ。

副題に「海軍学徒兵慟哭の記録」とありますように、著者もその海軍学徒兵の一人であり、硫黄島に一度は着任しながら、負傷のために決戦の前に島を離れ、生き延びた方だそうです。

硫黄島が最近、注目度が高いのはやっぱりあれだな。クリント=イーストウッドの「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」のせいだろうな。ちなみにたきがは、どっちも未見。この本読めば、「硫黄島からの手紙」は特に見る必要もないと思いました。それぐらい詳細な記録です。わし、これまで、硫黄島って「玉砕した島」ちゅうぐらいしか知らんかったんですよ。どんな戦いがあったのか、興味がなかったというのもありますが、これ1冊読めば、かなり足りるんじゃないでしょうか。それだけの名著だと思います。
硫黄島の決戦は1945年2月に始まるわけですが、その前から実に丹念に、丁寧に書かれており、アメリカ軍が、日本の領土として、いかにこの南海の孤島を重視していたか、よくわかるのです。これに対し、日本軍も、アメリカ軍の1/10の兵力で硫黄島を1ヶ月以上も守り、戦ったんですから、局地的に見ると、いかにすごい戦いだったのか、よくわかるんです。

でも、でもですよ。硫黄島を守ったところで、玉砕同然にこの島を死守すべく戦ったところで、日本にはすでにまともな航空機も空母もなかった、それ以前にマリアナ諸島で負け、サイパンで負け、中国での戦いも戦線ばかりが伸びて膠着状態、硫黄島の戦いの前に、大本営は日本がすでに勝てないことがわかっていたんです。物資も足りない、資源もない。年寄りの金歯や寺の鐘さえかき集めなければ資源のない日本には、すでに勝てる要素なんてどこにもなかった。軍の司令部はそのことをわかっていた。
ところがこの期に及んでもなお国民を騙し続け、本土決戦なんて夢物語を唱え、硫黄島の戦いが終わってからまだ4ヶ月も戦争を続け、国民を死にさらし、原爆を落とされ、沖縄では軍が民衆を守らぬことさえ露呈した。

いったい、硫黄島を守ろうとした兵隊たちは、何を守ったのでしょう? それはもはや守るに値しないものじゃなかったんでしょうか? 日本がもっと早く降伏していれば、硫黄島はなかった。2発の原爆もなかった。日本の都市を破壊し尽くした空襲だってずっと減っていたに違いない。そう考えると、「すごい戦いだったんだな〜」で終われないんです。いや、むしろ、「すごい戦いだったけど、無意味だったよね」って思ってしまうんです。

なんですか、硫黄島の最高司令官、栗林中将が最近、人気あるみたい(と解説に書いてあったが、「硫黄島からの手紙」の渡辺謙さんのイメージが強いせいですかね)なんですけど、なんちゅうかな、彼がしなければならなかったのは、玉砕するまで兵を戦わせることじゃなく、そうなる前に降伏することだったんじゃないか。死ななくてもすんだ命を一人でも多く助けることだったんじゃないか。なんてことを思ったりするのです。

私たちがあの戦争に学ぶべきことは、確かに平和の尊さもあるのだけれど、国民が一丸となって一億総玉砕に進もうとした過ちを繰り返さないよう、政治家というものに目を光らせ、メディアが独立を守り、国の手先とならないこと、そんなことなんじゃないかな、なんて思ったのでした。

でも、今の日本て、まるで逆だよね。メディアは権力に追従してるし、政治家は信念も誇りも感じられないし、身勝手な犯罪が増えてるし。なんて思ったりしませんか。

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