文京洙(ムン=ギョンス)著。平凡社刊。
副題が「『島(タムナ)のくに』の死と再生の物語」となってます。
タイトルどおり、済州島四・三事件を膨大な資料から在日韓国人の著者が見つめなおしたドキュメンタリーです。
四・三事件にとどまらず、済州島という島の成り立ち、四・三事件に至った経緯、四・三事件に加えて、その後の済州島社会の移り変わりなども丁寧に追った良質のドキュメンタリーだと思いました。
さらに、あちこちで言及してますが現在の朝鮮半島の分断は、そもそも日本の植民地支配が原因だと思っていますが、著者はさらに「もし、近衛の上奏が聞き入れられ日本の敗北がこの段階(1945年2月のヤルタ会談)で決まっていれば、ソ連の対日参戦はなく、したがって朝鮮が分割占領されることもなかったわけである」と言ってます。
そうなれば、日本本土で唯一の地上戦となった沖縄もなかったろうし、東京大空襲も2発の原爆もなかった。
まったく引き際を間違えるとは大日本帝国のトップは稀に見るド阿呆ですネ。
盧武鉉大統領(当時)が四・三事件の58周年の慰霊祭に参加した時の言葉が良かったのでメモしておきます。
以下、引用
「誇らしい歴史も恥ずかしい歴史も、歴史はありのままを明らかにして整理しなければなりません。とりわけ、国家権力による誤りは整理せずに済ませることは出来ません。国家権力はいかなる場合にも合法的に行使されなければならず、逸脱に対する責任は特別に重く扱われなければなりません。また、赦しと和解を説く前に、無念の思いで苦痛を強いられた方々の傷を治癒して名誉を回復しなければなりません。これは国家がしなければならない最小限の道理です。それでこそ国家権力に対する国民の信頼も確保されて共存と統合を語ることが出来るようになるでしょう。」
引用ここまで
おりしも韓国の大統領・朴槿恵さんが罷免されました。まるで他人事のようにそのニュースを語る日本人は、もうちょっと自分の国を振り返ってみたらいいと思います。
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