池宮城秀意著。サイマル出版会刊。
サブタイトルが「沖縄ジャーナリストの証言」で1970年に日本エッセイスト・クラブ賞を受賞したそうです。
後の琉球新報の社長ともなったジャーナリストが、わりと冷静な眼差しで沖縄戦の前夜から敗戦後4年ぐらいまで、自分の周辺を語ったエッセイです。
そう言えば、山本周五郎さんの「
戦中日記」も読んだんですが、空襲はあっても地上戦などなかった東京のため、これほど緊迫した状況になってませんでした。
この戦争は負けると思ったという姿勢に貫かれたインテリらしい文体で読んでいておもしろかったです。ここら辺は先日読んだ「
沖縄戦記 鉄の暴風」の方がクールになりきれていなかったです。あと、あっちはレビューに書かなかったけど文章がへたくそで読みづらかった… こちらはさすがに賞を取っただけ上手いと思いました。
しかし1968年の発表でいまだに中国のことを支那・シナ言ってるのは直そうよ、やっぱり…
あと著者としては実際に防衛隊に召集されたんだし、軍人関係の病院に入ることに抵抗もなかったようですが、そうではない難民キャンプの方がずっと大変だったとか書かれると、こういう非常事態には「本当に良き人びとは皆帰らなかった」はどこでもあることなんだなぁと思いました。
[0回]
PR