埴谷雄高著。講談社刊。全3巻。
最後の巻ですが、相変わらずよくわからないで読み進めたのですが、登場人物の大半が観念的なことしかしゃべってないので、まぁいいか…
わし的には1巻で登場して以来、ずっと沈黙した狂人として描かれてきた矢場徹吾が、首猛夫に最後の審判を打ち明けるシーンがすこぶるおもしろかったです。特に人間代表として食った魚や豆に裁かれるイエスと仏陀とか最高でした。まぁ、これもすぐに否定されちゃうんですけど…
ただ、矢場徹吾や首猛夫まで三輪与志らの異母兄弟だったというのは必要だったんですかね? 三輪の血筋という意味で必要だったのかもしれませんけど… 確かに考えてるだけというのは滅多になさそうな血筋ですが… 誰も悪徳政治家と言われた親父に似てないですネ。
高志が「ひとりの子供だにまったく存しなくなった人類死滅に際しておこなわれる革命のみが、本来の純粋革命となる」と書いたというのを読んだ時は、似たようなことはあちこちで言われてるけど、それ、自分一人を消した方が早いんちゃう?と思いました。
あと、たとえ話のなかで、どいつもこいつも「あっは」とか「ぷふい」と事あるごとにつぶやくのは、どいつもこいつも同じ奴にしか見えなくなってしまったので、もう少し書き分けてほしかったり…
わし的にはボルヘスの「
伝奇集」以来、背丈に合わない本を読んじゃったなぁというのが素直な感想です。
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