旗田巍著。岩波全書刊。
1950年発行と大変古い本ですが、読みたい本のリストに入っていたので借りてきました。年表や索引を入れても300ページ足らずの薄い本でしたが、古代から朝鮮戦争勃発までの歴史が総括的に読めて大変おもしろかったです。
わしも一応、高校の時は世界史を選択していたので新羅・百済・任那の三国時代、高麗ぐらいまでは知っていたんですけど、李氏朝鮮の時代になると世界史って比重ががぜんヨーロッパに傾くんですよね。14世紀のルネサンスとかその後の絶対王政とか派手だからね。せいぜい中国が明から清を扱うぐらいで朝鮮はその端でほとんど扱いもないのです。んで借りてきたわけです。
ただ、発行が古いせいか旧漢字だったので判読に苦労した箇所も多々ありましたが、そこは文脈で乗り切りました。しかし、旧の旧漢字が「
舊」だったとは初めて知りましたよ! あと、党の旧漢字が「
黨」ってのが意外と手こずりました。当と當は沖縄では一般的なんですぐに当たりがついたんですが…
日英同盟が結ばれた経緯が「
イギリスは日本を極東におけるイギリス帝國の助手に採用し」ってところは吹きました。いや、助手かよ… そう思うと今はアメちゃんの助手を嬉々としてやってるわけで日本人の言う誇りとか大和魂なんてのは
吹〜け〜ば飛ぶよ〜な〜♪ではありませんけど軽いものなんだなぁと思いまして、そういう日本って国がわしは大嫌いです。
つまり、その後の歴史で国際連盟の脱退とか日独伊三国同盟とかアメリカとの開戦とか、全部、かつての主人だったイギリスにも喧嘩売ってるわけで、それで勝てると思ってんのか馬鹿野郎と思いました。
また三・一運動以降、激しく日本の支配に抵抗した朝鮮の民衆でしたが、「
大韓獨立というスローガンは擧族的願望としては有効であったが、朝鮮人の生活問題に卽した内容をもたなかったために、運動が失敗して後は民衆を動かす力とならず」のところは、なるほどと目から鱗でした。
ただ、時代が時代だけに従軍慰安婦や朝鮮人強制徴用の問題が載っておらず、済州島四・三事件の被害者もそうとう少ないのは事実が知られていなかったのだからしょうがないと思いますが、朝鮮人民共和國が「1946年には解消してしまった」というのは頂けないと思いました。
アメリカが認めずに退けたんだよ!!!それ以外はとても勉強になったです。
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