呉知泳著。梶村秀樹訳注。東洋文庫174。平凡社刊。
サブタイトルは「朝鮮民衆運動の記録」でしたが、著者が東学の幹部でもあったので内実には詳しいけど、1つの「朝鮮民衆運動の記録」と言った方がいいような内容でした。
あと、東学って、もっと実践的なのかと思っていたんで興味を覚えて読んでみたんですけど、思っていたよりもずっと宗教宗教していて、例によって
宗教=麻薬の方程式が頭を占めたんで、期待を大きく外れて退屈な本でした。これだったら「
東学農民革命」のがましだったっていう…
まぁ、わしの方も東学を読むための基礎知識が徹底的に足りないということはあるかもしれませんが、宗教はやっぱり宗教ということで、歴史に素直に戻ろうと思います。
ただ、東学も朝鮮が日本の植民地になるとわりと日本の走狗になったというところは、生きのびるための策であったろうとはいえ、いろいろと考えさせられる点でした。
あと、ウィルソンの民族自決に感動して三・一独立宣言しちゃったけど、わしはあれは
・朝鮮の独立など天上天下唯我独尊な日本が絶対に受け入れるわけがないという点であんまり無謀すぎるし、後の犠牲の多さを見ても無茶だろうと思っていて全然評価していないので、東学とか宗教畑ばかりで作られたと知って、やっぱり役に立たねぇなぁとも思いました。なんちゅうか、現実見ろっていう。
それだけに宗教家として描かれてはいたけれど、実践的なキリスト教信者だった徐民永(ソ=ミニョン。「
太白山脈」の登場人物の一人)さんが魅力的に写るわけだわいと納得しました。
ちなみに原本は日本の支配下にあった1940年に出版された本なので、いろいろとぼかして書いてあるそうで、訳者の方の機転はなかなかありがたかったです。むしろ冷静な眼差しが良かったです。
引き続き、「朝鮮史」読み始めたんですけど、旧字が多いけどけっこうおもしろいです。
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