宮本常一、山本周五郎、揖西光速、山代巴監修。平凡社ライブラリー刊。全5巻。
サブタイトルは「近代の暗黒」ですが、今までの巻でいちばん駄目だなぁと思ったのはラッコなどの密猟者「海の男スノー」の一節のせいです。日本残酷じゃないじゃん! ただの英雄譚じゃん!
あと、第3章「大地のうめき」は、今までの農民残酷物語とかぶるところが多かったんですが、わざわざ章立てにした意味がわかりません。小作争議や米騒動なら、ちゃんと焦点を絞って書いてくれなくちゃ。
さらにアイヌと同等、あるいはそれ以上に収奪された朝鮮半島についての記述が最後にちょっとありましたが、それは片手落ちというものだよ…。
そして、なぜか、同じ4章に入ってるんですが、軍隊について書くなら、空襲で負傷させられ、何の保証もない民間人についても言及しなくちゃ。
と突っ込みどころのが多かった巻でした。
これで全巻読んだことになるんですが、やはり第1巻の壮絶さがいちばんで、巻を追うごとにインパクトが薄れてしまうのは尻切れトンボな印象です。
あと、監修はあくまでも全体のまとめで個々の節、あるいは章単位で執筆者が変わるらしく、そのレベルがけっこう差が大きいのもマイナスかな。
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