織田作之助著。青空文庫刊。
森繁久彌が旦那はんをやったんで有名な映画版は見てませんが、何となく筋は知ってるので読んでみました。一緒にダウンロードした「神曲(ダンテ)」が古文調の訳だったので辟易して、こっちに逃げた。短かったし。
いいとこのぼんぼんで妻子のある身でありながら、芸者の蝶子と連れ添うことになった柳吉との腐れ縁というか、男女の仲を描いた短編小説。
今風に言うならば「ダメンズウォーカー(一人だけだけど)」な蝶子が、いつまでもぼんぼんの癖が抜けない柳吉に惚れた弱みで連れ添い、芸者になったり店を構えたり、どれもなかなかいい調子で進まない苦楽を描いてまして、映画だとラストシーンで柳吉が「おばはん、これからも頼りにしてまっせ」と蝶子に言ったところで終わってるそうなんですけど、小説では特にそんなこともなく、ほんとに蝶子さん、柳吉でいいのかいと言うにはとうが立ち過ぎちゃって、もう別れるに別れられない感じで、それでも柳吉が優しい顔を見せれば有頂天になり、金遣いが荒かったりすると怒ってぶん殴るとか、割れ鍋に綴じ蓋で、これはこれで似合いの二人なのかと思いながら読んでました。
こういう話のおもしろみがわかるには、わしも経験が足りないということか…
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