九目著。GANMA!掲載。
何もかも失った少女が一風変わった人びと(ソーセージとかソーセージとかソーセージとか…)に会い、自分の素性を知っていく話。なんですけど、ファルス(喜劇)とタイトルにあるように基本はギャグ漫画でして、ジャンルはメルヘンギャグのようです。
登場人物が誰も彼も一筋縄ではいかなくて、
ヒロインのアメリアは、他のキャラが濃すぎるけど、わりとファザコンで、
アメリアとくっつくヒズベルトは美形だけど、かなりSが入った元暗殺者で、
リリーは機械人形(キャラ的にはまとも)、
ブルストはソーセージ(しかしまとも)、
ゼベットさんはブルストの親で、やもめの肉屋(肉をさばけないと暴れるとか)、
ヒドノラさんは魔女でゼベットさんの奥さんの親友だけど、密かにゼベットさんを憎からず思っている、
露出狂のパン屋、
ヒズベルトの元の雇い主で魔女のフォルビア一味。
などなど、多彩なキャラクターが登場して、でも誰もがどこかズレていて、笑いを醸し出すという不思議な漫画です。
ヒズベルトとアメリアはわりと美男美女のカップルでしたが、ヒズベルトの性格の歪みっぷりがなかなかカップル成立まで時間がかかりまして、そこら辺のズレとか、本来はアメリアを暗殺しようとしていて敵対していたはずなのに、なぜかアメリアたちと仲良くなってしまうフォルビア一味とか、その黒幕のシリウスとか、悪役なんだけど妙に憎めないキャラクターの造型が絶妙で、なかなか似たような漫画が思いつかない唯一無二の世界がとても居心地が良かったです。
話の方は概ね収まるところに収まって、めでたしめでたしで完結してるんで、これから読むのもお薦め。
わしはフォルビア一味の一人で、「誰もやらない雑用を見かねてやってしまうタイプ。ゆえに仕事が雑」とか書かれてるバルターに親近感を持って、フォルビアとのつき合いも長いところも含めて、いちばん好きでした。そうそう、バルターは常識人。
あと30代で酒の飲み過ぎで痛風になってたギルモアや、フォルビアとかもわりと好きでした。
中盤からシリアスな展開なんですけど、それでも笑えるシーンがあるというなかなか得難い漫画です。
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