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山本周五郎著。新潮文庫刊。

時代物を掲載した短編集です。
表題作のほか、「ひやめし物語」「山椿」「おたふく」「よじょう」「こんち午の日」「なんの花か薫る」「牛」「ちゃん」「落葉の隣り」を収録。

うち「ひやめし物語」「山椿」「大炊介始末」が武家物。
「おたふく」「よじょう」「こんち午の日」「なんの花か薫る」「ちゃん」「落葉の隣り」が下町物。
「牛」が平安物です。

また同じ武家物でも「ひやめし物語」は一生ひやめしを食う定めの武家の四男坊が趣味のことなどから役目をもらえることになり、相思相愛の女性と結婚することもできた話でちょっとユーモア路線ですが、「山椿」はだらしないと思われていた男が相思相愛の女性の死により立ち直る様をシリアスに描いた話で、「大炊介始末」になると父に愛情深く育てられた若殿が、実は自分が不義の子だったと知り、やけくそになって、父に討たれようとするけれど、周囲の人びとが殉死するというので思いとどまったシリアスです。
また同じ下町物でも「おたふく」は自分のことをおたふくと思い込んだ姉妹の善意がユーモラスに描かれ、「よじょう」では宮本武蔵に父を殺された武家の次男坊が長兄から勘当されて乞食になったのに、逆に仇討ちするものと周囲に思われてしまうけれど、武蔵の病死により、中国の故事「予譲」に倣って再生するユーモア路線。「こんち午の日」は、著者の名作「さぶ」にも似たちょっと愚図な主人公が奉公に入った豆腐屋を巡る物語で、「なんの花か薫る」は岡町物というジャンルにも分けられる話で、若侍を助けた女郎の愛情と、侍の無邪気さがアンハッピーエンドに落ちてしまう話。「ちゃん」は腕のいい職人と彼を支える家族の愛情が、末っ子の3歳の女の子のたどたどしい口ぶりとともに温かく描かれる周五郎さんの真骨頂とも言える話。「落葉の隣り」は三角関係になった幼なじみの男2人と女1人の話ですが、珍しくすっきりしない終わり方。
と、相変わらず多彩が楽しめるお得な一冊となってます。

わし的には「大炊介始末」と「ちゃん」が好きですが、特に「ちゃん」の末っ子が「赤ひげ診療譚」「赤ひげ」の長坊の小生意気なんだけどたどたどしいしゃべりを思い出させて凄く良かったですな。

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