監督・脚本:アンジェイ=ワイダ
出演:ヴワディスワフ=ストゥシェミンスキ(ボグスワフ=リンダ)、ハンナ(ゾフィア=ヴィフワチ)、ニカ=ストゥシェミンスカ(ブロニスワヴァ=ザマホフスカ)、ユリアン=プシボシ(クシシュトフ=ピェチンスキ)、文化大臣(シモン=ボブロフスキ)、ウッチ造形大学学長(アレクサンデル=ファビシャク)、ロマン(トマシュ=ヴウォソク)、ほか
見たところ:岩波ホール
ポーランド、2016年
たきがは大好きのポーランドの巨匠アンジェイ=ワイダ監督の遺作です。神奈川県に来るのを待っていたら来ないことがわかり、慌てて岩波ホールに行って来ました。何年ぶりだよ…
1948年、スターリン主義まっただ中のポーランドの地方都市ウッチを舞台に共産主義につぶされていく前衛的な画家ヴワディスワフ=ストゥシェミンスキの晩年の4年間を描きます。
わしは絵画の世界にはとんと暗いのでストゥシェミンスキさんのことは全然知りませんでしたが、左手と右足がなくても松葉杖をついて精力的に動き回り、学生たちに慕われた講義の風景などを見ていると、画家としてだけでなく教師としても素晴らしい方だったんだろうなぁと思いました。でも、その一方で、すでに別れた彫刻家の奥さんと小〜中学生ぐらいの娘さんがいて、その奥さんの葬儀にも呼んでもらえないというのはどっか問題はあるのだろうという描き方もワイダ監督らしいと思います。まぁ、母親の葬儀を一人で行った娘の前で、協力者とはいえ、愛人のようなハンナさんとのやりとりをしちゃう無神経さはどうなのと思ったし。それでもラストシーン、孤児になった娘が父親が死んだというベッドに来るところで終わるのは、彼女が示せる精一杯の愛情とも取れるし。
しかし、寮に入っているとはいえ、この先、娘さんが冷遇されたのではないかと心配にもなりますが。
タイトルの「残像」は、ストゥシェミンスキさんの残した「残像はものを見た時に目の中に残る色なのだ。人は認識したものしか見ていない」から取られたそうで、それはストゥシェミンスキさんが最後にショーウィンドウの中で倒れた時、何人も通行人が通るのに誰もが無関心というところにも現れていたのかなぁと。
大好き監督とか言いつつ、見てない映画もあるので機会があったら見てしまおうと思います。
ワイダ監督のご冥福をお祈りします。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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