マオアキラ著。出版社名メモしとかんかった
昭和30年代の宇和島。広島の対岸にあたるこの地にも、戦後10年経った時代にも、ヒロシマの傷痕は確かに刻み込まれて…。乱暴者だが頭もよく、野球の上手いたつひこと、その幼なじみ、みちこの3年ぶりの再会と本人たちも意識していないような淡い恋。
ふとしたきっかけで書名を知りまして、図書館で探してみたら、置いてあったんで読んでみたわけです。作者の方が宇和島出身だというんで、もしかしたら自伝的な話かもしれません。
ただ、最初の1章で後の展開が予想されてしまいました。たきがはの好きなヒロシマものですが、話の設定がステレオタイプすぎるかも。
みちこの幼いころの記憶にある「ヒロシマ」、「男の子が気のある女の子に乱暴する」、「実は女の子の方も憎からず思っている」、「たつひこも被爆してた」、「10年経って発症する原爆症」。
キャラクターの設定と展開があまりにどこかで見たようで、ヒロシマものとしては物足りなかったです。自伝だとしたら、「ステレオタイプ」と言ってしまうのも申し訳ないかもしれません。あの当時の広島や長崎ではそれだけ、そういう人たちが多かったということの裏返しかもしれないわけですから。
でも、「10年経って発症する原爆症」というネタ1つとっても、「夕凪の街、桜の国」という傑作があるわけですよ(こっちは漫画ですが)。あれ読んで、「また、こういう話かぁ」とは思わなかった。
子ども向けですから、たきがはの感じた「ステレオタイプ」というのは子どもにはわからんかもしれないです。子どもには「展開が読める」ということもないかもしれません。
でも、子どものための本だからこそ、「子供だまし」ではなく、真剣勝負してほしいなぁと思いました。
あと、中学生のみちこの(おもってること)が、全部ひらがな、つーのがすごく違和感あって、私的にはだめかも。
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