朝日新聞長崎総局編。朝日文庫刊。
副題が「若手記者が聞く被爆者の物語」。長崎県版の連載を1冊にまとめたものだ。
「若手」とあるように、正直、文はうまくない。読みづらいなぁと思ったところもあった。それでも読ませるのは語られている事実の重さだ。
「
この子を残して」や「長崎の鐘」で有名な永井隆博士の主治医を父に持つ人の話もあった。写真まで載っていて、映画で加藤剛さんが演じたような知的で穏やかそうな人ではなく、実は軍国主義者だったという人物を想像させるような人だった。ぽっこりふくれたおなかが、癌によるものだろうなぁと想像できて痛々しい。
ほかにも「原爆で亡くなった人を火葬にしたら、生焼けで内蔵がどろりとはみ出した」とか、「母を火葬にしたけど、ちゃんと焼けず、頭だけでも持って帰ろうとしたら、脳みそがどろりとはみ出して、兄弟そろって逃げた」とか、痛々しいエピソードも満載。
字がやたらに大きいので、ページのわりにボリュームはないし、それぞれのエピソードも短め。気軽に手にとって、読んでほしい一冊。
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