石井敦・真田康弘著。東京書籍刊。
副題に「捕鯨裁判の勝者はだれか」とあります。タイトルの「コンプレックス」は、劣等感とよく訳される言葉ですが、本来の意味である複合体としてつけたと解説がありました。だから横文字使うなと言うのだ…
久々に朝鮮戦争から離れた本でしたが、副題のように捕鯨裁判について扱った本でありながら、日本が民主主義国家を標榜しながら、実は官僚制帝国主義だということを書いた本でもありました。
著者は現在の捕鯨論争が、感情的と言われてもおかしくない反捕鯨への反対で動いていることを国際司法裁判所で日本がオーストラリア・ニュージーランドに敗訴した捕鯨裁判を詳細に解説することで浮き彫りにさせていきます。
そして、その病理が官僚が「最も優秀で無謬の政策シンクタンクである」という建前のもとに動いている日本社会にあることを指摘して、民主主義を標榜する国家でありながら、という結論にいたっていくわけです。
日本が主張する「伝統的な捕鯨文化」は連続性がないこととか、目から鱗のドキュメントでした。
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