ザミャーチン著。岩波文庫。
「夜の言葉」で紹介されてて、興味を覚えて図書館で借りてみた。毎日、昼ご飯時にちょっとずつ読んでたので2週間以上かかっちった。
反ソ宣伝の書として、1920年の作でありながら、ペレストロイカ後まで本国で刊行されなかったそうだ。
ソビエトのような政治体制が世界を統一した未来。単一国という国家の下、日々の生活を時間で決められたアンチ・ユートピア世界で、主人公の宇宙船製作担当官が、一人の奔放な女性に出逢い、反逆に携わることになる…。
繰り返される秩序の美しさ。性さえも管理された世界。番号で呼ばれる個人。「満場一致デー」と言われる結果のしれた選挙。「恩人」と呼ばれる独裁者。
管理されたユートピアはSFでは数々描かれる世界だと思われるのだが、モデルがあるせいか、リアル。結末も甘っちょろい希望など打ち消すようで。
「想像力の摘出」という恐るべき結論。だからこそいま、想像力を失いたくないと思う。
そうして、この書はソ連の消滅後も残っているけれど。マルクスとエンゲルスの描こうとした社会は、こんなにはかないものだったんだろうか。ロシア革命の理想はこんなものだったんだろうか。社会主義国家があらかた消滅したいまの時代、社会主義はそんなにえげつないものだったのかなぁ。
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