船戸与一著。徳間文庫刊。
文庫にして600ページ超の長編小説を、通勤時間の行き帰りで読んでしまいました。長い通勤も悪くないと思いますが、問題は会社の帰りに図書館に行ってる時間がないということです。
湾岸戦争の勝利に沸くアメリカで、元日本ジュニア・ミドル級チャンプのおれは詐欺師の老人エル・ドゥロと知り合い、運命が転換していく。やはりエル・ドゥロに騙されたという女子プロレスラーのキャンデスとジョニファ、ホームレスの少年メッキー、20万ドルを騙し取ったウォーカーの元秘書マーゴを加えた一行が、エル・ドゥロのライバル・ファッティ・ザ・ラトラーことグレゴリー=ラムズベキを助けたことで2000万ドルを狙う大博打に打って出る!
何ともテンポのいい痛快な詐欺師小説。1995年のロンドンで、今や二代目のエル・ドゥロを名乗るようになった「おれ」が語るエル・ドゥロとその一味の出会いと別れ、大博打の顛末は、上記のように仲間を加えつつ、アリゾナ州からフラッグスタッフ、デンヴァー、そしてニューヨークへと舞台を変え、徐々に大きな勝負に挑むことになっていきます。
壮絶な戦いの果てに登場人物の何人かが死んでしまいますが、それでも後味の良さは最近の船戸小説にはなかなか見られなくなっているので、またこういう話を書いてもらいたいものです。
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