忍者ブログ

されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

山猫(再見)

監督:ルキノ=ヴィスコンティ
出演:サリーノ公爵(バート=ランカスター)、タンクレディ(アラン=ドロン)、アンジェリカ(クラウディア=カルディナーレ)、ドン・カロージェロ=セダラ(パオロ=ストッパ)、神父(ロモロ=ヴァリ)、ドン・チッチョ(セルジュ=レジアニ)、コンチェッタ(ルッチラ=モルラッキ)、サリーナ公爵夫人(リナ=モレリ)、ガリバルディ(ジュリアーノ=ジェンマ)、ほか
原作:ジュゼッペ=ランペドゥーサ
音楽:ニーノ=ロータ
見たところ:桜坂劇場
イタリア・フランス、1963年

4年ぶりに今度は劇場でかかるというので再見です。やたらに人が多くて満員に近かったんじゃないかと思いますが、隣のおっさんは半分くらい船を漕いでいたんで、ヴィスコンティの名前だけで来た人も多かったんでしょうか。そういや、ネットでも「状況説明が足りない」というレビューを見たりもしましたけど、うーん、そういう連中には一昨日おいでな映画というのがあるのが理解できないだろうなぁと思いました。映画でも本でもそうですが、自分のレベルというか知識をそこまで上げないと理解できないテーマというのはあるのです。何でもかんでも自分のレベルにまで下げろ、やれ説明しろというのではあかんのです。なのでここ10年くらい流行ってた「わかりやすく読むニーチェ」みたいな書物はわしは手を出しません。そんなもん読むならニーチェ読みます。わからなかったら、もっと勉強してからおいで、というのがわしの意見です。

19世紀、ガリバルディ将軍による統一を迎えた激動のイタリア・シチリア島。パレルモの近くに屋敷を構えるサリーナ公爵と、その若き甥タンクレディ、婚約者アンジェリカとの交流を通じて滅び行く貴族の姿を描く。

と、前回と同じ粗筋になりましたけど、全編を貫くテーマが滅び行くものの悲哀なので粗筋をまとめようとするとこうなってしまいます。まぁ、長々書いても粗筋だからさ…

で、前回は途中でぶち切れた(DVDの具合が悪かったため)のはサリーナ公爵が狩りのお供をさせているチッチョにカロージェロ一家のことを訊ねるシーンでした。その前に選挙の投票について話してて、チッチョが前王を支持していたけど投票では修正されたと怒りをぶちまけるシーンがありましたが、まぁ、あんな選挙じゃねぇ… なにしろ選挙管理人の目の前で「はい」か「いいえ」の札を入れるんですけど、それがモロバレで、無記名とかあったものじゃないし、たぶん一定の収入以上の男性限定の制限選挙なんで、まぁ、19世紀じゃそんなものかと。
ただアンジェリカの母親がやたら美人なのは映像付きで2回も語られてましたけど、そんなに必要だったのか、あれ? 夫のカロージェロが家から出さないとか言われてて性格的にだいぶ難がありそうなんですが、強調する必要もなかったのでは… ああ、でも、最後の舞踏会のシーンでおしゃべりに興ずる貴族の娘たちをサリーナ公爵が「いとこ同士の結婚はやめた方がいい」と暗に近親相姦による白痴化を否定してるみたいな台詞が出てくるんで監督の意向なんでしょうかね。しかし、あのシーンは実際の貴族の末裔たちがこぞって出演してたそうだけど、怒られなかったんでしょうか?

あと、前回の感想でも書きましたけど、やっぱりタンクレディとアンジェリカに比べて、周囲は月とすっぽんでした。
特にサリーナ公爵の七人(!)もの実子たちがどれも父親より母親似な感じで、最初のうちこそ(たぶん)長女のコンチェッタに優しいタンクレディでしたが、アンジェリカが登場すると鞍替え、というか、たぶん最初から大して気はなくて、でも従妹だから優しくしてやってたという感じだったのをコンチェッタが勝手に勘違いしてたんだろうなと思いました。というか、公爵、子どもたちには必要以上の愛情は感じてないっぽくて、むしろ自分に似てる上、境遇が不遇(親が財産浪費して死んじゃったとか)なタンクレディへの愛情のが明らかに勝ってるっぽくて、コンチェッタが神父を介してタンクレディと結婚したいと言い出したのを却下してアンジェリカとくっつけるよう示唆しちゃう辺り、どう見てもタンクレディ>(越えられない壁)>実子だなぁと思いました。
実際、公爵は七人も子どもは作ったけど、まだまだ精力旺盛なのに嫁が受け入れてくれないらしく(あと、絶頂のたびに「マリア様」と叫ぶとか)、パレルモにお気に入りの娼婦がいて、こっちも「私の公爵さん」とか言ってて、神父に肉欲の罪を咎められると言い訳したりしてるんで、たぶん、嫁とは100%政略結婚で、夫婦仲も悪いわけじゃないけど、庭で軍人が死んでると冒頭で知らされれば、卒倒しかねないほどの貴族然とした夫人にはいろいろと不満もあって、しかも子どもたちはどいつも自分に似てなくて嫁似で、なんで野心家で行動力もある、ぶっちゃけ自分に似てると思えるタンクレディのが可愛いんだろうなぁと。実際、誰が見てもアラン=ドロン>(越えられない壁)>その他大勢ですもんねv
ついでに見てて思ったんですけど、公爵にとってはタンクレディは自分の写し身なんだろうと。この時代、タンクレディのような若さがあったら絶対に取って代わりたいんだろうと思いました。でも自分は老いている、老いは自覚している、なのでタンクレディに後を託して自分は消えゆくのみ、みたいな感じに見えました。で、タンクレディの方も当然、そういう叔父の気持ちは理解していて頼りにしているし、ラスト、「議員に立候補する」と言ったのは、その前に公爵が上院議員への推薦を断ったことへの裏返しなんだろうなぁと思って見てました。なんでタンクレディがそういう叔父の贔屓を自覚していて、けっこう鼻持ちならない表情を見せるのに、競争心なんか持ってないような公爵の子どもたち(まともに名前も呼ばれない十把一絡げな扱い)は当たり前のように受け入れている感じでした。

そういや、シチリアといったら、この前に見た「ゴッド・ファーザー」の出身地で、アル・パチーノが潜伏してた(の割には嫁取りしたりしてましたが)ところでしたが、やっぱり似たような乾いた光景で、日本の緑に慣れた目には荒々しい、侘しい土地だなぁという印象がぬぐえませんでした。しかも服が白くなるほど埃をかぶってるって、どんだけ乾燥してんのな土地柄で。

あと、つい先日というか、天皇がどっか行ったとかニュースに接するたびに憎々しい思いに囚われるんですけど、同じ光景がサリーナ公爵が旅行した先の村で見られまして、今のニッポンのがもっと仰々しくて、前世紀どころか前々世紀の遺物なんだなぁと思いました。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

PR

ゴッド・ファーザー

監督:フランシス=フォード・コッポラ
出演:ドン・コルレオーネ(マーロン=ブランド)、マイケル=コルレオーネ(アル=パチーノ)、トム=ヘイゲン(ロバート=デュヴァル)、ソニー=コルレオーネ(ジェームズ=カーン)、フレド=コルレオーネ(ジョン=カザール)、ケイ(ダイアン=キートン)、ジョニー(アル=マルティーノ)、ソロッツォ(アル=レッティエリ)、ルカ(レニー=モンタナ)、クレメンツァ(リチャード=カステラーノ)、テシオ(エイブ=ヴィゴダ)、コニー=コルレオーネ(タリア=シャイア)、カルロ(ジャンニ=ルッソ)、アポロニア(シモネッタ=ステファネッリ)、マクラスキー警部(スターリング=ヘイドン)、映画プロデューサー・ウォルツ(ジョン=マーリー)、ドン・バルジーニ(リチャード=コンテ)、ボナセーラ(サルヴァトーレ=コルシット)、ドン・トマシーノ(コラード=ガイバ)、ほか
原作:マリオ=プーゾ
見たところ:シネマ・パレット
アメリカ、1972年

頭から通しで見たことがなかったんで、大まかな粗筋は知ってました(マイケルが末っ子でカタギとか、兄貴がマシンガンで壮絶な死を遂げるとか)が、午前十時の映画祭でかかったんで見に行きました。

ニューヨーク・マフィアの一角を占めるヴィトー=コルレオーネの娘コニーの結婚式が豪華な屋敷の庭園で行われていた。そこに海兵隊に所属する三男のマイケルが恋人のケイとともに帰宅する。その合間にもヴィトー、ドン・コルレオーネは来客の対応に忙しくしていた。政治家や判事にもパイプを持つコルレオーネ・ファミリーは五大ファミリーのなかでもリーダー的な存在で誰もがドン・コルレオーネには一目置いていたが、平穏な時代はドンが麻薬組織のソロッツォとの取引を断ったことで無惨に打ち砕かれていく。新聞記事で父が重傷を負ったことを知ったマイケルはファミリーに戻るが、血気盛んな長兄のソニーはソロッツォのバックにいるタッタリアの息子を父の報復として殺害する。警察の幹部マクラスキーを抱き込んだソロッツォは容易に殺せない。マイケルはソロッツォが再度取引を持ちかけたことでソロッツォとマクラスキーを暗殺し、ドン・コルレオーネの故郷シチリアに逃亡するが、ファミリー間の抗争は激しさを増す一方だった。マイケルはシチリアでアポロニアという娘に一目惚れしてしまい、彼女と結婚するが、ニューヨークではソニーが何者かに襲撃されていた。そしてアポロニアもマイケルの代わりに殺されてしまう。ドン・コルレオーネは五大ファミリーのボスとの会合をセッティングし、抗争を終わらせようとするが、タッタリアの裏にコルレオーネ・ファミリーに取って代わろうとするバルジーニがいることを察し、ソニーに代わって後継者となったマイケルに忠告する。しかしその後、ドン・コルレオーネは亡くなった。父の葬式で妹のコニーから娘の名付け親になるように頼まれたマイケルは古株のテシオからバルジーニとの会合を告げられ、彼が裏切り者だと知る。洗礼式の日、マイケルの命でコルレオーネ・ファミリーは五大ファミリーのボスたちやラスベガスのモー=グリーンらを次々に殺害し、ソニーの死に関与したコニーの夫カルロも殺された。マイケルの妻のケイはカルロの死への関与を問い質そうとするがマイケルに激昂され、否定される。けれども彼女が見たのは新たなゴッド・ファーザーとなったマイケルの姿であった。

ちゅうわけで最後まで粗筋書きましたけど、少々中だるみしました。わし的に。3時間の大作で、それでも「風と共に去りぬ」に比べれば短い方なんですけど中盤がたるかったです。

まず登場人物が多いので覚えるのが大変てのもありまして、どいつもこいつも背広着てるし、おっさんだし、だったんでドン・コルレオーネが撃たれてから、マイケルがニューヨークに戻るまでがけっこう長かったです。兄貴のソニーと妹婿のカルロの見分けがつかんかった…
アポロニアの登場シーンはさくっとカットしていいんじゃないかとも思いましたが、そうするとカタギのマイケルを暗黒街に戻すには動機が薄くなるので入れたんでしょうが、平穏なシチリアと物騒なニューヨークの対比もあるんでしょうが、ソニーのキャラが典型的な二世で、武闘派であんまり考えないタイプだったんで余計退屈でした。どうして二代目って、どいつもこいつもお馬鹿なんだろう… あと、個人的に次兄のフレドっていなくてもよかったんじゃあ… モー・グリーンとの取引もなくてもよかったんじゃあ…

個人的にはドン・コルレオーネに息子同然に可愛がられてるトムが好きでしたが、頭脳派と見せつつ、ウォルツに馬の首を送りつけたのはトムの指示だったんだろうから、そこはやっぱりマフィアの弁護士なんだなぁと思ったりしました。

主演男優賞を取ったマーロン=ブランドは、どうもこの映画のイメージが強すぎて「ラスト・タンゴ・イン・パリ」ではおっさん臭が強かったんだと思いました。ただ、口のなかに綿入れてるのはバレバレだったんで、あんまりうまくねーなとも思いました。

トム役のロバート=デュヴァル氏は「勇気ある追跡」や「アラバマ物語」、「鷲は舞い降りた」にも出演してて、何の役かと思ったら、「勇気ある追跡」では仇のネッド、「アラバマ物語」では隣人のブー、「鷲は舞い降りた」では主人公の上官でした。芸幅広いなぁ…

この後は三作、わしの無関心な映画(「日本の一番長い日」「八甲田山」「愛と青春の旅立ち」)ばかりなので、「ブルース・ブラザーズ」までお休みです。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

風と共に去りぬ(何度目か)

監督:ヴィクター=フレミング
原作:マーガレット=ミッチェル
出演:スカーレット=オハラ(ヴィヴィアン=リー)、レット=バトラー(クラーク=ゲーブル)、メラニー=ウィルクス(オリビア=デ・ハビラント)、アシュレー=ウィルクス(レスリー=ハワード)、ジェラルド=オハラ(トーマス=ミッチェル)、エレン=オハラ(バーバラ=オニール)、マミー(ハティ=マクダニエル)、スエレン=オハラ(イヴリン=キース)、キャリーン=オハラ(アン=ラザフォード)、ミード医師(ハリー=ダベンポート)、プリシー(バタフライ=マックィーン)、インディア(アリシア=レット)、チャールズ=ハミルトン(ランド=ブルックス)、フランク=ケネディ(キャロル=ナイ)、ベル=ワトリング(オナ=マンソン)、ビッグ・サム(エベレット=ブラウン)、ピティパット=ハミルトン(ローラ=ホープ・クルーズ)、ほか
見たところ:シネマ・パレット
アメリカ、1939年

たきがはがハリウッド映画史上の最高傑作を自認する大作映画です。午前十時の映画祭でかかったので、そろそろ見た回数が両手の指では足りなくなってきた感もありますが、まぁ、あんまり真面目に数えてないので正確なところは知りませんが、また行ってきました。そうなんだよ、またかと思ったって行きたくなる映画なんですよ、こいつは。何度見てもいいものはいいんですよ。

で、今回はまたいろいろと発見があったので、つらつらと書き連ねてみようと思います。

・レットのスカーレットへの愛情が冷めたのは、スカーレットが「もう子どもは産みたくないからセックスも嫌(意訳)」と言った当たりから下り坂になってた

この後、酔っ払ったレットが勢いでスカーレットとやっちゃって、スカーレットは逆に満たされて明るい顔になっているのに、そうと気づかずに冷酷にボニーを連れてヨーロッパへ行くなどと言い出したのは、だいぶ愛情が冷めてきたせいなんだろうと思いました。その後、ボニーを失って二人の仲は破局に向かっていきますが、メラニーの死でスカーレットがアシュレーの世話を頼まれたことでレットが二人の仲を勘ぐり、とうとう出ていくのはスカーレットの自業自得もあるだろうけど、レット自身にもだいぶ責任があるなと思いましたが、スカーレットは何しろ映画の初っぱなですでに男にちやほやされるのに慣れてる高慢ちきなもんで、レットみたいなタイプの男性はほとんど初めてなんですな。なので彼が未だに自分を愛してくれてると思って気を遣ってやるとか優しい言葉をかけるとか、そういうことができなかったのもレットがスカーレットを愛するのに疲れさせてしまったんだろうなと。
あと、「スカーレットの代わりに甘やかしていた」と言った愛娘のボニーを失ったことも大きかったのは言うまでもないでしょうが。

・アシュレーの中途半端な態度も悪い

まぁ、これはさんざん言ってるんですけど、スカーレットがなにしろ色眼鏡をかけてアシュレーを見てるもんで、格好良さが本来よりも当社比500%くらいの割合で急上昇してるんで、ほんとはもっと優柔不断な決断力のない、でも優しい男なのにそう思わせないところが小ずるいというか、意外と立ち回りは巧いというか、四六時中猫かぶってて、本音を言えるのはレットとほぼ召使いだけというスカーレットなんかにはアシュレーのそういう汚さって最後までわからなかったんだろうなぁと思いました。
安全パイというより、なにげにスカーレットの好意も残しつつ、でもメラニー愛してるなアシュレーはけっこうあくどいなと。

・スカーレットとレットは本人たちが言うほど似てない

どっちも自己中で我が儘でタフであんまり品はないタイプだと思いますが、スカーレットの根っこにあるのはタラで、レットのような旅生活というのは無理だなと中盤で思いました。この違いは大きいかと。まぁ、これでスカーレットがメラニーよろしく旅に出たレットを待ち、大きな心で迎え入れる性格だったら、めでたしめでたしなんでしょうが、そうじゃないのがこのヒロインのいいところにして欠点でもあるので、万事が自分中心じゃないと気が済まないし、間違っても「私待つわ」タイプじゃないので無理なんですが。逆のがいいのかもしれませんけどタラ抜いたらスカーレットじゃないしね。

・黒人たちの役柄は「アンクル・トム」

ただ、これは映画だとだいぶ差別はなくされているそうでして、そこはプロデューサーのセルズニックがかなり気を遣ったそうです。というか、スカーレットの周囲にいる男性のほとんど(レット除く)がKKKの一員だとか、原作を読んだら引っ繰り返りそうな展開みたいです。Wiki情報ですが。
それでもマミーやビッグ・サム、プリシーらの献身ぶりは奴隷の延長まんまで、原作の舞台がそういう時代だったとはいえ、見ていて気になるところではありました。

・スカーレットの初婚の相手チャールズ(メラニーの兄)は気弱なザエボス=ローゼンバッハ

に見えたという話です。もちろんSFC版。

・旧日本軍って劣化南軍だよね

初っぱなのオークス屋敷(アシュレーの実家)で男たちが気勢を上げるシーンがありますが、レットが冷静に「北軍には大砲もあるから負ける」と言ったのを根性じゃなくて気品で勝つ!と一蹴したのを見て、レットには冷笑されますが(その前に自らの無礼さを謝ってますが)、ああ、どっかの軍隊そっくしと思いました。
あと、前半ラストに近いアトランタ駅での負傷兵たちの様子(スカーレットがミード医師を探して歩いていく)がだんだん俯瞰していって、そのうちにスカーレットも見えなくなり、でも、まだ画面からはみ出すくらいの負傷者というのは、こんなに広い場所じゃなかったろうけど沖縄戦での陸軍病院壕とかを彷彿とさせるシーンでした。
その時点ではもう薬も包帯もないとか言ってたのでさらに。麻酔なしで足を切っちゃって、切れたスカーレットが家に帰るシーンなんかもありましたし。

アメリカ軍が負けた日本に甘くて朝鮮に厳しかったのは地理的な要因もあるのでしょうけど、こんなところで共感とかしてたんじゃないですかね。

・ベル=ワトリングはほんとにいい女だった

レットとつき合いの長い酒場の女性です。作中では唯一、彼女に冷たくしなかったメラニーと2回会い、レットを最後に「あんたはそれだけ彼女(スカーレット)に惚れてるんだ」と突き放すシーンが印象的でした。

これぐらいでしょうか。

あとはスカーレットのいつも自己中エゴイスト我が道を(たとえ障害物があっても破壊してでも)突き進むのと、メラニーの聖女っぷり、レットの前半の問答無用の格好良さと後半の零落っぷり、アシュレーのいい人に扮した悪っぷり、スカーレットの妹たちの話が進むに従って影が薄くなっていくところ(最後の3/4には名前も聞かれないし顔も出ない)を堪能しました。

もうちょっとね、もうちょっとスカーレットにレットへの思いやりがあったら、きっとうまくいったんだろうなぁと思うんですよ。
でも、レットはきっとというか絶対、そんな高嶺の花(と言いつつ、自分と同類と見なしていた)なスカーレットを手に入れるまでが楽しくて、一生懸命で、逆に手に入っちゃったら、急に冷めていったようにも思えました。まぁ、スカーレットも悪いんですけど。いつまでもアシュレーに未練たらたらとか。
だけど、やっぱり、いちばん好きなヒロインという位置づけはこの先も変わらないように思います。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

ラスト・タンゴ・イン・パリ

監督:ベルナルド=ベルトルッチ
出演:ポール(マーロン=ブランド)、ジャンヌ(マリア=シュナイダー)、トム(ジャン・ピエール=レオ)、ほか
見たところ:桜坂劇場
フランス・イタリア、1972年

偶然出逢った中年男と若い女が自堕落なセックスにふけるようになるものの、男、ポールは妻を自殺で失ったばかりで女、ジャンヌにも若いTVディレクターのトムという恋人がいた。互いに名も名乗らず、素性も言わない関係だったが、ある日、ポールは突然、その関係を一方的に断ち切り、トムに求婚されていたジャンヌも諦める。だが、再度、出逢ったポールは再びジャンヌに関係を迫るが彼女に拒絶されて追いかけたものの、とうとう彼女に撃たれてしまうのだった。

まぁ、そろそろ古典の域に入ってる年代なんで最後まで粗筋書きました。

桜坂の会員特典でお誕生日月限定の無料券もらったんで前から興味のあった、こちらのタイトルを見てきましたが、どうも、わしは無料で見た映画は外す傾向(二回目ですが)にあり、これもあんまりおもしろくなかったというか、全然ポールに共感しませんでした。

というか、嫁のローザが自殺して原因がわからないみたいなことを言ってるシーンが最後の方にありましたけど、その前に自分たちの経営するホテルに宿泊するマルセルをローザの浮気相手に焚きつけておいて、それで何で妻が死んだのかわからんとか、こいつ、阿呆とちゃうかと思っちゃったのがケチの始まりでして、その前に何か、唐突に切れ出すんですよね、ポールって。もう、いきなり暴力的になる。妻の母、つまり義理の母親相手にとか、ホテルにやってきた娼婦の逃げ出した客とか、いきなり暴力を振るう。その時点でも、こんな性格では嫁にも逃げられるだろうと思ってたら、マルセルとはポールが煽ったとか言うんですから、自分の方で仕組んでおいて妻が死んだら、めそめそ泣き出すとかわけわからん。まぁ、いきなり切れるのは躁鬱症で、嫁が死んで深い傷を負ってとか理由もつけられますが、何でマルセルと浮気するように仕組んだかと言えば、200年生きてもローザのことが理解できないとか言ってたので、ほんとに相手を理解する気あるのかとか、そもそもどう頑張ったって夫婦なんて赤の他人なんだし、家族だってしょせんは他人なんですから理解しようと思う方が奢りというもので、そこら辺でスタートが間違ってるよおっさんって感じでした。まぁ、年下だったんだけど(爆

かといって、例によって女の子の方に共感するかと言えば、いつもならそっちに向くんですが、ジャンヌが20歳とか言った時点で若すぎだろうと思ったので、その軽薄さというか尻軽さというかもあんまり好きになれなかったので、どっちにも共感できずに見ていたのでした。
ジャンヌの恋人のトムも軽薄な感じだったし。

そのうちにポールの方から一方的に関係を断ち、そのくせ、近くをうろついていたジャンヌを待ちかまえてた時点で、もうストーカーまがいになってたんで、ああ、こりゃ駄目だなと思いましたけど、ジャンヌが誇らしげに言ってたナイジェリアの内乱だったかに従軍していたという亡き父の帽子をでたらめにかぶって、でたらめな敬礼をした時点で、こいつ、よりによって逆鱗に触れるようなことをしでかしやがったよと思ったら、そこで撃たれたので、まぁ、自業自得だよねと。
しかも、とうとう最後までジャンヌはポールの名前も、どこに住んでるかも知らなかったし、ポールは死んじまったしで、正当防衛が成り立って、ジャンヌはトムと結婚するんだろうかなぁと思いましたけど、どうなんでしょうね、そこのところは。もうちょっと思慮深くなってるか、あるいはトムの方から取り下げるかわかりませんが。別に幸せになってほしいと思うような娘でもなかったんで、どっちでもいいですが。

そういや、この映画、ヘア修正なかったけど、年齢指定もなかったんでしょうかね?

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

金子文子と朴烈(パクヨル)

監督:イ=ジュニク
出演:朴烈(イ=ジェフン)、金子文子(チェ=ヒソ)、水野錬太郎(キム=インウ)、布施辰治(山野内扶)、立松懐清(キム=ジュンハン)、牧野菊之助(キム=スジン)、ほか
見たところ:桜坂劇場
韓国、2017年

自らを不逞鮮人と名乗り、関東大震災後の朝鮮人大量虐殺のスケープゴートとして逮捕された無政府主義者の朴烈と、その愛人の金子文子を2人の出会いから大逆罪で裁かれるまでを描いた歴史物です。

ただ上海で活動していた義烈団(「密偵」の)から爆弾を入手しようとしましたが果たせず、大逆罪を負わされて死刑の判決も受けました(後に天皇の名において恩赦を与えられ、無期懲役に減刑)が、本当にヒロヒト(当時は皇太子)を暗殺しようとした難波大助と違って、幸徳秋水らの大逆事件と同じく、実態はありません。
最初に書いたように関東大震災で混乱する民衆を沈めるべく、朝鮮人の井戸への毒混入とか騒乱をでっち上げて、自警団や軍隊に大勢殺させたことで、わずか4年前に朝鮮半島全土で起こった三・一独立運動の再来を恐れた日本政府が、そのごまかしとして再度でっち上げた事件です。1つ嘘をついたら、その嘘を隠すために2つでも3つでも嘘をつかなければならない日本の姿は、えらく醜いですな。
ちなみに朝鮮人虐殺を水野錬太郎が主導したように描かれてますが、なんというかな、日本の政治家の良心とか、わし、これっぽっちも信用しとらんので山本権兵衛とか白々しかったですわ。

もっとも朴烈はこれを逆手にとり、文子とともに自らの主張(天皇制の廃止や朝鮮の独立など)を展開しますが、真実の姿はマスコミには伝えられず、1945年にようやく釈放となったのでした。日本共産党の徳田球一が「獄中十八年」とか書いてたけど、それより長いですネ。
しかし、映画では日本敗戦後の朴の経歴をごまかしてまして、1974年に朝鮮民主主義人民共和国で刑死した事実は伏せているのはどうかと思いました。1989年(だったか)に大韓民国から勲章を受けたことまでは紹介してましたが、当人、その時点では死んでるはずなんで。
ただ、そういう朴烈の経歴もけっこう歪んでるWikiでの紹介なもんで、転向に次ぐ転向とか、共和国でスパイの疑いをかけられて処刑されたとか、どこまで真実なのかは疑わしいところではありますが。

そういう意味では原題は「朴烈」でしたけど、邦題で「金子文子」をつけ加えたのは日本向けなんでしょうけど、圧倒的に金子文子のが魅力的でした。それはたぶんに、わしが文子が恩赦を受けた後で自殺してしまったことを知っているのも影響しているとは思います。ありもしない大逆をでっち上げられて、その思惑に乗って、最後までその意志を貫いた、天皇の恩赦を良しとしなかったという点では朴烈は金子文子の足下にも及ばないわけなので。まぁ、たきがは的には生き残る朴烈は大いにありなんですけど、李承晩とかの名前が出てくるとちょっと疑わしくなるもんですから。

朴烈の記念館があったそうで、金子文子の墓もあるようなんですけど行きそびれたぁ…

疑わしいと言えば、新山初代がスパイっぽく描かれていたのはどうなのだろう? そこの描写、必要か?

あと、「バトル・オーシャン〜海上決戦」でも思ったんですけど、日本人の役を日本人が演じてないのはどうも台詞廻しが不自然になる時がありますね、残念ながら。まぁ、役柄が役柄だけになかなか出演を承諾する俳優もいないんでしょうけど、そこら辺は日本人のけつの穴の狭さが嘆かわしいところですが。そもそも打診したのかとか。

個人的にはこの監督の経歴ぐらいで巨匠とか言って持ち上げちゃうのはどうかと思いました。別に嫌いな監督ではないんですが、巨匠じゃないだろう…

わし的にはすごく関心のあるジャンルなんで多大な期待を持って見ましたが、凡作とは言えないまでも傑作とも言いがたい、微妙な映画でした。
それは2人が実際には何の罪も犯していないという理由もあったのかもしれません。大逆という、日本では最大の罪をでっち上げられたという意識が最初から最後まで消えなかったせいかもしれないです。その意識はあったにもかかわらず、彼らは爆弾1つ投げたわけじゃなかった。ただ、時代と事情が彼らを大逆事件に押し上げただけに過ぎなかった。それは実際にヒロヒトに銃弾を向けた難波大助には及ぶべくもなかったのではないかと、そんな風に思いました。
だって夢想するだけならば誰にでもできるのですよ。
ただ法廷で演じた不逞鮮人の姿は誰にでも真似できるものじゃないんですけど。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

カレンダー

03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

最新CM

(06/14)
無題(返信済)
(05/29)
(04/27)
甘くない態度(返信済)
(04/26)
謹賀新年(返信済)
(01/04)

プロフィール

HN:
たきがは
HP:
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

かうんたあ

脱原発意思表示Webステッカー

バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン