監督:吉田大八
原作:角田光代
出演:梅澤梨花(宮沢りえ)、平林光太(池松壮亮)、相川恵子(大島優子)、梅澤正文(田辺誠一)、隅より子(小林聡美)、井上佑司(近藤芳正)、内藤課長(大西武志)、平林孝三(石橋蓮司)、小山内等(佐々木勝彦)、小山内光子(天光眞弓)、名護たまえ(中原ひとみ)、今井(伊勢志摩)、ほか
日本、2014年
平凡な主婦による巨額横領事件を描いたサスペンス。
わかば銀行に勤める梅澤梨花は会社員の夫と2人暮らし。契約社員となって営業に廻された梨花は、あまり理解のない夫との暮らしに飽いており、苦学生・光太と出逢ったことから顧客から集めた金を横領するようになっていく…。
実際にそういう事件があったので題材はそこら辺なんだろうなと思いました。ただ著者が描きたかったという「“お金を介在してしか恋愛ができなかった”という能動的な女性」像は、この映画を観た感想としてはあんまりそうは思えず、やっぱり「“男性に対して貢ぐ”という形」だったように感じました。というのは、光太が学費を払うために借金をしているという話から横領するようになっていくのですが、光太と別れると金の使い道を新たに見出したようなエピソードもなかったからです。まぁ、その頃になると映画の尺だと梨花の横領がばれちゃって、どうするのかという展開になっているので、新たに金を使うというエピソードは挟みにくかったのかもしれませんが、原作の小説やテレビドラマなどではそういう展開もあったのかもしれません。
あと、ラスト、梨花が東南アジアに逃げて、女学生時代に寄付をしてあげた男の子に遭うというエピソードは、梨花が東南アジアにいるのかいないのかわかりづらく、梨花がどうして男の子(今は青年~親父)の目の前から消えちゃったのかという結末も何が言いたかったんだかわからなかったので、そんな蛇足を挟むくらいなら、思い切ってエピソードを切っちゃっても良かったんじゃないかと。
どちらかというと、梨花の女学生時代のキリスト教の教えに則っているようでいて(「与える者は幸いである」と言われて、寄付金を親父の金から盗み取ったという告白とか)、優越感に浸っていただけというエピソードの方が、切れ切れに出てきて、最後で収束するとはいうものの、少々、わかりづらかったので、梨花の性格形成に大いに影響しているし、横領事件を起こした根っこでもあると思ったので、そっちをちゃんと描いた方が良かったんじゃないかと思いました。
前評判は高かったけど、わし的には物足りない映画でしたわい。
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