某国営放送。緒方拳(高山春平)主演、田中裕子(竹本世津。吾郎の実母)、玉山鉄二(河原吾郎)、岸部一徳(河原病院長。吾郎の実父)ほか出演。
原爆ものです。某国営放送は時々すんばらしく良質なドラマを作るくせに、そういうドラマに限ってDVDも販売しないという致命的な欠点があります(ぶつぶつ)。しかも緒方拳さん主演ですから期待できそう!と思って見ました。
広島県呉市で帽子屋を営む高山春平は一人暮らし。東京で暮らす息子夫婦が頼んだ警備会社の担当者、河原吾郎をからかいつつ、地味に帽子を作って暮らしてきた。しかしある日、吾郎の忘れた手紙を盗み見た春平は、彼の母親が幼なじみの世津で、癌を患い、余命いくばくもないことを知る。世津は胎内被爆者で、吾郎は母に捨てられたと恨んでいた。そして春平の息子も会社を辞めたという。春平は吾郎を誘って東京に向かう。だが息子夫婦に会うはずの旅は、世津に会う旅に変わっていった…。
世津が胎内被爆者で差別されていた、という以外にはそれほど原爆に真正面から取り組んだ話ではありませんでした。でも、緒方拳さん、田中裕子さん、岸部一徳さんという芸達者な方々が要所を締めて、吾郎役の玉山鉄二くんの屈折と悲しみ、そして明るさは、実は世津から、世津は春平から受け継がれた脳天気さ、したたかな、しなやかな強さなのだというところがなかなかよござんした。
佳作。某国営放送は地方局がいいドラマを作るのだな。
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