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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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ルック・オブ・サイレンス

監督:ジョシュア=オッペンハイマー
共同監督:匿名
見たところ:川崎市アートセンター・アルテリオ・シネマ
デンマーク・インドネシア・ノルウェー・フィンランド・イギリス、2014年

去年「アクト・オブ・キリング」という映画を見まして、あれが加害者の側から描いた映画ならば、こちらは被害者の遺族の側から描いた映画です。で、「アクト・オブ・キリング」で、どういうレビューを書いたのか探したら、どこにもなくて、見たという記録さえ残してなくて、何かあったのか、もう思い出せないので思い出しレビューは書きませんが、「ルック・オブ・サイレンス」です。

1965〜66年にインドネシアで起きた「共産主義者」への大虐殺。それで兄のラムリを殺され、ラムリの死後生まれたアディは、今も普通に隣人として、権力者として暮らす虐殺者たちに近づき、兄の死の真相を知ろうとする。それは同時に、長年沈黙を強いられてきた母に口を開かせることを強制もするのだった。

アディは奥さんと男の子、女の子と暮らしていて、全編重たい話のなかで、そこだけがまるで別物のようにほのぼのとしています。ただ、奥さんはアディんちの事情を知っていて、夫がかつての加害者たちに近づくのを案じていますが、アディは辞めません。

加害者たちは粗筋にも書いたように隣人であり、権力者であったりしますが、ここがインドネシアの特別なところなんですが、普通に加害者と被害者遺族が同じ村で、町で暮らしています。

そして、ここはインドネシアに特有ではなく、加害者に世界的・歴史的に共通した認識なんですが、自己の行為の正当性を訴えたり(「共産主義者」は目をえぐるとか神に祈らないとか、だから殺してもいい)、自分の責任を矮小化したり(自分は命令できる立場じゃなかったとか上の者から言われて仕方なくやったとか、だから自分に責任はない)するのは、ナチスだろうが日本だろうが、どこでも一緒だったりします。

最初は、そういう加害者たちが「罪の意識があり、殺人のことを話すと無表情になる」と言っていたアディでしたが、実際に会ってみると、大虐殺のことを話すのを嫌がったり怒り出したり、加害者の家族は妙な親近感を見せたり(あなたとは家族のように思うとか、あなたの気持ちはわかるとか)、見ていて、エグい気持ちにさせられるのでした。

ただ、毎度、わしも似たような感想に立ち返ってしまいますが、じゃあ、日本人が十五年戦争や朝鮮を植民地にしたことでやってきたのはどうだったのかと。それがずーっと頭を離れませんでした。
確かにインドネシアで行われた虐殺は酷いことです。でも、それは決してインドネシア単独で行えたことではなかった。そこには共産主義を西側先進諸国の思惑が働いてこそであり、日本がそれと無関係だったはずがなく、そういう日本の態度というのは、アジアを踏みにじってきた歴史の上に成り立つものであり、それがひいては今の日本に繋がっているわけですから。

「アクト・オブ・キリング」とセットで、是非見てほしい傑作です。

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