監督:ジャン・ポール=ジョー
出演:セヴァン=スズキ、古野隆雄、福井県今立郡池田町の農婦たち、オンディーヌ=エリオット、バルジャック村の人びと、アントワーヌ=アレナ、ほか
2010年、フランス
2010年の作なのに、福島第一原発事故以前なので、もう古びて見えてしまう環境ドキュメンタリー。
1992年に開催されたリオデジャネイロ環境サミットで、並み居る各国の首脳や代表者を相手にたった12歳で伝説的なスピーチを行ったセヴァン=スズキさんを中心に、それから大して変わっていない地球の環境について、主に有機農業の面から考えたドキュメンタリー。
登場する方々は順に、古野さんは福岡県で合鴨農法をやる農家の人。福井県のおばちゃんたち、オンディーヌ=エリオットさんはフランスの13歳の少女で鮫の乱獲を訴え、海辺に移り住んだ人。バルジャック村は村の給食に有機農業を取り入れるフランスの村。アントワーヌ=アレナさんはコルシカ島で有機ブドウを作ってワインにしている農家の人。といった感じ。
途中まで、福井県とフランスが出てきて、どっちも原発に無縁じゃないなぁと思っていたら、後半でバルジャック村は原発から40km圏内ということがわかり、わざとだったらしいです。ただ、そうすると福岡県の古野さんの話が浮いてしまうんですが、まぁ、鮫の話とかコルシカ島とか出てくるんで、特に統一性はないような気もします。あと、中盤から「セヴァンのサムライ」という言い方(「七人の侍」すなわち「セブン・サムライ」にかけた言い方らしい)が出てくるんですが、別に古野さんとかがそういうわけではないようなので、最初からその「サムライ」に絞った方が焦点が絞れたんじゃないかという気もするし、まぁ、いろいろと言いたいことがあるのはわかるんですけど、あちこちに話が飛んで、ちょっとわかりにくかったのと、なんかとってつけたような「サムライ」という言い方は、日頃、日本代表が「サムライ・ジャパン」とか言われてて、何かむかついているわしとしては、あんまり好ましくない感じもしまして、映画としては「フード・インク」の方がすっきりしてたと思いました。
まぁ、なんといっても12歳で伝説的なスピーチをしたセヴァン=スズキさんが本題な感じもしますので、そこから別に進んだわけでもない地球環境を見ていると、伝説なんて持ち上げているだけ失礼な気もします。
あと、冒頭にも書きましたように福島第一原発事故を体験してしまった我々には、もはやこの映画の内容は古く、地球温暖化とか二酸化炭素の悪役も疑わしいと言われている昨今、どうしても過去の話になってしまいがちなのも残念。
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