監督:中村誠
出演:ちえり(高森奈津実)、チェリー/お父さん(星野源)、お母さん(尾野真千子)、ねずざえもん(栗田貫一)、レディエメラルド(田中敦子)、母犬(花村さやか)、ほか
日本、2016年
鳥肌立つぐらい気持ち悪い話でした。久しぶりにどぶ金、金返せレベルな映画です。
母と2人暮らしの少女ちえりは、父の法事で田舎に来たが、従兄弟たちと喧嘩した挙げ句、母にもお寺に来なくていいと言われてしまう。唯一の親友、うさぎのぬいぐるみのチェリーと田舎の屋敷の冒険に出たちえりは、ネズミのねずざえもんや野良猫のレディエメラルドと会い、臨月の母犬を紹介される。しかし、母犬は弱っており、赤ん坊の命を怪物が狙っているのだ…。
引っ込み思案の少女の話なんですが、親友のぬいぐるみと亡くなった父親が同じ声というのがまず駄目でした。父親は空想好きなちえりの唯一といってもいい理解者で、「ちえりの想像力は世界一だなぁ」とか端々に父親に褒められる言葉が出て来まして、もう、この時点で、この子、ファザコンなんだなぁと、わしは思いました。しかもチェリーと父親の声が一緒の時点で、ちえりにとって、チェリーは親友である以上に父親なんだろうと。だから、想像の中のチェリーはちえりよりずっと大きくてたくましい。しかも常に冷静でちえりには、ちょっと痛いことも言ってくれる。いやいや、何、その都合のいい親友。
母親は、仕事が忙しいのでなかなか娘と話せないのですよ。しかも、チェリーを「捨てろ」とかことある毎に言う。まぁ、なんてわかりやすい構図。母親はちえりにとっては障害物なわけです。理不尽な要求を突きつける、理想と正反対の存在なのです。
父親の法事に来てるのに、母親に叱られてお寺に行けなかったちえりは、チェリーの言葉で少々反省はしてみるものの、屋敷の冒険に行きます。あくまで想像。天井の模様をカラスだと思って襲われてみたり、勝手に怪物を想像して襲われたり、でも、お父さんに応援されれば何でもできる。子犬の命も救えるし、用が済んだ親友はお役御免。最後はお母さんとも和解してハッピーエンドとか、ご都合主義に満ちた展開に辟易しました。
あと、ラスト、喧嘩した従兄弟たちと和解するのに生まれたての子犬使ってたけど、そんな産まれたばかりの子犬を母犬から離すとは、おまえは鬼だよ、ちえり… ていうか、こういう脚本書いて、観た子どもが同じことをやったらどうするんでしょうか。子ども向けで逃げるには酷すぎるだろそこ。
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