それはたきがはが残業に備えて侘びしい晩飯を買いに外出した晩のことじゃった。
にゃーん
ぴかりん!たきがはは無類のまいちゃん煩悩であるが、猫好きでもあるので、猫の鳴き声には聡いのであった。それほど探すまでもなく、猫はすぐに見つかった。近所で日々見かける野良猫二匹で、いつもなら、わしが近づくと逃げていくのに、背が黒で腹が白い猫が人なつっこく近づいてくるではないか!
うにゃーん
この機会を逃すたきがはではなかった。猫なで声を出しつつ、腰を落として近づくと、すぐそばに! 猫が!
うにゃーん
とますます猫なで声をあげて手を出すと、その猫は、わしに喉を撫でさせてくれたではないか!
ごろごろと喉を鳴らすにゃんこ、この機会を逃さんとサービスに励むたきがは。
もしかしたら、猫たちは、おなかが空いていたのかもしれない。しかし、その時のわしが持っていたのは、カレーとおしんこだけだったのであった。
うにゃーん
侘びしい残業の一時に、思わぬふれ愛であった。
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