監督:黒澤明
出演:雄造(沼崎勲)、昌子(中北千枝子)、ほか
日本、1947年
「
我が青春に悔なし」と「酔いどれ天使」のあいだに撮った小品でしょうか。何といっても三船以前の黒澤映画とはいえ、スター俳優が出てません。それだけに市井の貧しい恋人たちの日曜日がよりリアルに見えるのですが、わしの好みとしては地味なんで、一回見たらもういいかなぁ。
貧しい恋人同士の雄造と昌子。日曜日にデートするもお互いの所持金が合わせて35円しかない。貧しいために結婚することもままならない二人は、それでも昌子の提案で住宅展示場を訪れるが10万円の一軒家は二人には高嶺の花だ。安そうなアパートも条件が悪く、二人の給料を合わせても払えそうにない。雄造は子どもたちの草野球に混じり、動物園に向かう。そこに雨が降ってきた。もう帰ろうと言い出す雄造に昌子は未完成交響曲のコンサートを聴きに行こうという。しかし、安い席のチケットは目の前でダフ屋に買われてしまい、雄造はダフ屋に文句を言うが、逆に袋だたきに遭わされる。雄造のアパートに行った二人だが、このまま別れたくないと言う昌子に雄造はつれない。いったん帰ろうとした昌子だったが、戻ってきて、意を決したようにコートを脱ごうとし、号泣してしまう。雄造は昌子を優しく慰めるのだった。仲直りした二人は喫茶店に行き、自分たちで将来、良心的な喫茶店をやろうと語り合う。その時、雄造は野外音楽堂に向かい、昌子に未完成交響曲を聴かせてやろうとするが、逆に冷たい風に意気消沈してしまう。昌子は観客に向かい、拍手してくれるよう訴え、ようやく雄造もタクトを振ることができるのだった。
という、99%くらいはどこが「素晴らしき」なんだというくらい、何をやってもうまくいかないカップルが描かれまして、最後、幻のコンサートで、ようやく明日に希望をつないで、「また次の日曜日にね」と言って別れます。
Wiki見たら、35円というのは現代の3500円くらいだそうで、確かにそれは貧乏だわ… ただ、コンサートが安い席でも10円で見られるのは今の6000円とかふんだくってるのと比べたら、えらい良心的にも見えました。
動物園はたぶん上野で、入場料は1円くらいでしょう。
二人が喫茶店の夢を語り合うのは、その直前にミルクコーヒー+お菓子で30円もふんだくられた(でも金がないので雄造がコートを置いていった)からです。えらい高いなぁ…
最後、昌子が「拍手してください」と訴えるのは映画を見ている観客に対してで、実験的な演出だったらしいんですが、似たようなのは見たことないなぁ。
ちなみに公開は夏だそうですが、話は2月6日(とコンサートのポスターに書いてある)なので、季節感とか台無しですな。
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