監督:アンリ・ベルヌイユ
出演:ビットリオ=マナレーゼ(ジャン=ギャバン)、ロジャー(アラン=ドロン)、ル・ゴフ警部(リノ=バンチュラ)、ほか
フランスの新旧2大俳優が正面からがっちり取っ組み合った悪の香りたっぷりのロマン。
いや、古今東西、色気でアラン=ドロンに勝った俳優は数々あろうが、より男前の俳優も数々あろうが、なんというか、この人の場合、その甘いマスクに決して満足してない、男っぽさと悪(わる)っぽさが同居していて、殺し屋という同情の余地もないキャラクターであるにもかかわらず、すぐ側にいたら、ぜってーに転ぶ! ちゅうか、この男に惚れなきゃ女じゃない!って雰囲気がぷんぷん(という粗悪な言い方がまたお似合い)してるのがええんですわ。
で、これを迎え撃つのがフランスの往年の名優ジャン=ギャバンだ〜! はっきり言ってこの方、ハンサムじゃありません。でも、ええわ。CVが森山周一郎さんというのもポイント高し。シシリアの出身で、フランスで一大財産を築き、2人の息子と1人の娘に恵まれ、孫もおり、でも5億ドルという桁違いの獲物を見せられて、すごすご引き下がるのは男じゃねぇっ!っていうか、ああ、格好いい。
刑務所に入れられるロジャーに請われて、脱獄を助けたシシリア出身の事業家ビットリオ=マナレーゼ。ロジャーは、彼のもとにローマのとある美術館の警備図を持ち込み、総額5億ドルとも言われる宝石の奪取を持ちかける。ニューヨークに住むビットリオの知己アントニオの協力で宝石は奪取できたに見えたが、意外なところから彼らの足下は崩れていくのだった。
この2人(当初はロジャー)を追う警部ル・ゴフも、渋いおっさんで、たきがはは初めてフランス映画を見た時に(もしかすると「ヘッドライト」か。ジャン=ギャバン、フランソワーズ=アルヌール主演)フランスの男の人って優男の二枚目ばっかりとか思ってたイメージががらがら崩れた記憶があります。いや、ハリウッド映画とか見慣れてるとハンサムばっかり出てくるじゃないですか。フランス映画ってそうじゃねーの。そこらへんもお国柄っていうんですか、おもろいな〜と思いました。あんまり見る機会ないけどね。で、イギリス映画になるとケン=ローチ監督とか、もうハリウッドなんか見てらんねーや!なおもしろ映画ばっかりで…
男の浪漫て言葉がまだまだ生きていた時代の、悪の香りたっぷりの映画っす。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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