レイ・ブラッドベリ著。北山克彦訳。晶文社刊。
筒井百々子さんの「ものまね鳥シンフォニー」にタイトルだけ出てくるのです。作中のアラバマ児童劇団の次のお芝居で、ハイ・ファイが練習するシーンを見ているというわずか数ページの言及なんですが、ブラッドベリの作だと知ったんで、借りてみた。主人公の少年がダグラスというんですな。で、たんぽぽのお酒は、夏の象徴として、過ぎ去った夏を偲ぶものとしておじいちゃんが一夏かけてつけるわけです。このシチュエーションは、まるで「たんぽぽクレーター」の第1話ではありませんか。ダグ(ダグラス)とレミーが夏を偲ぶのは麦わら帽子でたんぽぽではありませんが、その後、コールドスリープすることになったダグの装置にはたんぽぽが黄金の敷布のように敷き詰められ、主人公ジョイが夏を偲ぶよすがにし、夏を知らぬ子どもたちが夏の夢を見るきっかけともなり、最終回でも夏の象徴のように扱われていました。歳も同じ12歳だし。
そうか〜、アメリカでたんぽぽって春の花じゃないのか〜 夏の花なんだな〜
「何かが道をやってくる」とか「ウは宇宙船のウ」とか「火星年代記」などのSFで高名なブラッドベリが、1928年の一夏の、イリノイ州グリーン・タウンの出来事を、ダグラスとトム兄弟を中心に描いた叙情作。
一夏の経験というと、映画だと「スタンド・バイ・ミー」とか思い出しますが、わりと近いかも。映画化してないんだよなぁ。エピソードがいっぱいあるので取捨択一が大変だと思うけど、うまく選べばいい映画になると思います。しかし、最近のハリウッドはこういう行間の味わいっちゅうんですか、こういう想像の余地を残した映画を作るのが下手な気もするんで、うまい監督じゃないと無理かなって思ったり。
「ものまね鳥シンフォニー」でのトムの台詞がそっくり同じに出てきて、感動した。
[0回]
PR