沖縄タイムス社編・刊。
先日の「
シュガーローフ」についてもそうなのだが沖縄戦についての知識が欠落しているなと感じることが多いので、いろいろと目についたものを読んでみることにしました。で、借りてみたのがこの本だったんですけど、1950年と発行が古いですが、1980年の本で第九版と版数を重ねているあたり、冒頭の「読み継がれているロングセラー」というのは自画自賛というより自負なんだろうなと思います。
沖縄戦の様子を主に一般人(避難民、現地召集兵、学徒兵、従軍女学生など)の視点から綴ったもので、両軍の動きはわりと住民の動きに合わせて書かれているそうです。1944年10月10日の那覇大空襲から詳細に追い、巻頭の写真部分も沖縄戦のものすごさを理解する一助になりました。
ただ、以下の2点でちょっと辛いところが。
1)地図が最終ページにまとまっており、全島、南部、中部、北部の4葉しかないため、詳細な場所がわかりづらい。
できたら、章立てになっているので関連地域図くらい欲しかったなぁと思いました。特に最後の住民の手記が場所がまったくわかりませんで、臨場感もへったくれもなかったのは辛かったです。あと、この手記では、語り手が別の一家とあちこちへ避難し、最後は独りきりになって、手榴弾まで渡されたもので死ぬ気満々だったんだけど、手榴弾をなくしてしまったので死ぬ気が失せ、大方の人が立ち退いた部落にたまたま来ていた人に助けられ、米軍の捕虜になるという過程を書いていたんですけど、そもそも
・何で家族と別れ別れなのか
・戦時中なので仕方がないとはいえ、何でそんなに死ぬ気満々なのか
の2点がまったく説明されていなかったので、感情移入もしづらかったですね。
2)附録の「戦闘経過概要」で「この頃の戦況の全般的様相は、すばらしいドラマをおもわせるものがあった」という文章はいただけないんじゃないでしょうか。
住民視点で書いた本なのに米軍の砲撃を「身の危険を忘れて見とれるほど壮大な光景」とか「それはすばらしいドラマであった」とか、ええ、なにその目線?と思っちゃいました。第九版でも削除されてないのは大した批判がなかったからなのか、本音はそこなのか… 他の章でさんざん「生き地獄」とか書いてあるのにここだけ「すばらしいドラマ」と言っちゃう感性は理解できません。
まぁ、沖縄タイムスは推薦図書に扶桑社だったかの本を出すようなところなんで、こんな本もあったよぐらいに記憶しておくことになりそうです。ほかにも見かけたら読んでみようと思います。
あ、あと、沖縄の地名は独特の読み方をするんでルビ振ってほしかった!
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