監督:ユン=ジェギュン
出演:ユン=ドクス(ファン=ジョンミン)、ヨンジャ(キム=ユンジン)、ダルグ(オ=ダルス)、ドクスの父(チョン=ジニョン)、ドクスの母(チャン=ヨンナム)、ドクスの叔母(ラ=ミラン)、ユン=クッスン(キム=スルギ)、ナム=ジン(ユンホ)、ほか
韓国、2014年
たきがは大好き映画「
国際市場で逢いましょう(リンク先は初見のレビュー)」をケーブルTVでかかってたんで喜び勇んで観ました。いや〜、やっぱり好きだわ、この映画。粗筋は前回のに書いたので、今回は好きなところを書き散らしてみようと思います。
やっぱり、いちばん好きなのはヨンジャなのは変わりませんで、演じたキム=ユンジンさんが好きだし、彼女が出ている(しかもヒロイン)ので観に行った映画なので、やっぱりヨンジャ好きだなと思いまして、ヨンジャが出てからのシーンはいちいち好きでした。
特に
・ドクスとの出逢い
休日のドクスが自転車でシュプレー川沿いを散歩していたところ、同じように川縁で歌うヨンジャを見かけるも、彼女に見とれていたために屋台に突っ込んで引っ繰り返ってしまい、彼女に手当てを受けます。
・ドクスとの初デート
鉱員仲間にヨンジャたち看護学校の生徒のことを教えたドクスは、主催が誰かわかりませんが、たぶんダルグのような気がしますが、交流会を催し、ヨンジャと接近します。ここのダンスシーンもいいんですが、この後でヨンジャの個室にチゲ持参で忍び込んだドクスが、ヨンジャの仕事の大変さを知って「一人で泣かないで」と訥々と伝えるシーンが、実際のヨンジャの仕事のバックに流れまして、看護学校と言えば、聞こえはいいけれど、実際にやってる仕事は老人の下の世話だったり、死体を拭くことだったり、下働きっぽいヨンジャたち。自らも危険な炭鉱で働いているドクスの優しさが身にしみちゃうわけです。
・ドクス、事故に遭う
それだけに炭鉱で事故に遭い、ダルグを助けるために、逆に重傷を負ってしまったドクスがダルグと二人で救助を待つ。ところが地上では助けに行きたい韓国人労務者たちを止めるドイツ人の現場指揮官たちという構図があり、そこに割って入ったヨンジャがドイツ語で熱弁を奮うというシーンはいつ観ても熱いですね。
両親や家族のことを思い出すドクスが、「でもいちばん会いたいのはヨンジャ」と意識がもうろうとしているところへ、やっと助けられて地上に上がり、待っていたヨンジャに手を握られて、ヨンジャと気づいて握り返す、そのカットも良い。
・ドクスとの別れと結婚
ところがドクスとヨンジャにも別れが待っていました。ドクス曰く「韓国人はビザの延長ができない」そうで、互いに家族のためにはるばるドイツまで出稼ぎに来ているヨンジャには、愛しているドクスについて帰国できない。
しかし、ドクスが帰国してから半年後、ヨンジャも後を追うように釜山へ。追ってるんですが。実はドクスが帰国する前に一度だけ持っちゃった関係で妊娠が発覚、ヨンジャは激務の看護学校に勤め続けるよりも、ドクスとの生活を選んで釜山に来たのでした。
ただ、ヨンジャの家族やその事情が描かれないので、ヨンジャにどれだけ葛藤があったのかわかりづらい難点もあるのですが、たぶん尺の関係で削ったんだろうなと思います。あと、テーマ的に削ったのだろうとも思うのですが、ヨンジャは大切なパートナーなので1カットぐらい入れてほしかったとも思います。
閑話休題。
・ドクス、ベトナムへ
文字どおり波瀾万丈なドクスの人生ですが、いちばん大変だったのがベトナム戦争なのかなとも思いました。ドイツの炭鉱と違ってお母さんも反対しますし、ダルグも無理に丸め込んだ感がありますし。またサイゴン(現ホーチミン)で爆破テロ(というのがこの時代あったのか疑問ではありますが)に巻き込まれ、退却時に足を撃たれとあったので爆発事故に巻き込まれたりもしたけどヨンジャとの出逢いもあったんで結果オーライな炭鉱の時とは違い、失うものもあったのではないかと。
ただ、ドクスがドクスなのは、ヨンジャへの手紙に「こんな大変な目に遭うのが自分たちでよかった」と綴ってしまうところでして、それだけにラスト、お父さんに抱きしめてもらい、「本当に辛かった」と初めて本音を漏らすところが涙をそそるのでした。
・現代のドクスとヨンジャ
すっかり偏屈じいさんになったドクスですが、子どもたちに孫を預けられ、なにげに嫌みを言ってるのをヨンジャがすかさず突っ込みを入れていて、それも微笑ましかったです。
ただ、上の項でも書いたとおり、ドクスはラストまで本音を漏らしません。
せっかく受かった海洋大学を諦めた時も、その手から入学許可証が飛ばされて、それを寂しそうに見送っても「辛い」と口に出すことはありません。
また、ヨンジャに「一人で泣かないで」と言って、見事ハートを射止めますが、逆はないようです。
それもあって、ドクスが「辛かった」と言える相手が、ただお父さんだけだったとわかるクライマックスが、無数のドクスを思わせて泣かせるのでした。
ダルグは最初から最後までいい親友で、まさにチングだなと思いました。まぁ、ドクスよりも要領がよさそうで、ドクス曰く「貧乏でもないのに」と言ってるので、それなりに裕福な家庭なんでしょうが、ドクスにつき合ってくれちゃう友情は得難いものでした。
もっとも、この映画、いちばん笑い転げるのもダルグのシーンなので、泣きと笑いのバランスが忙しいのですが。
あと、ドクスのお父さんを演じたチョン=ジニョンさん、「
七番房の奇跡」や「
達磨よ、遊ぼう!」にも出演されてた方だったといまさら気づいた。
叔母さん役のラ=ミランさんは「グエムル 漢江の怪物」や「
渇き」や「
詐欺師キム=ソンタル」にも出てたってぇ…
こういう芋づる式の繋がりが韓国映画はたまりませんv
秋にはパニック物なので敬遠した「新感染 ファイナル・エクスプレス(原題『釜山行』)」や、わからないなりに2回観た「
密偵(原題同じ)」が公開されるようなので機会があったら行こうと思います。
あとソン=ガンホ氏主演の「弁護人」むっちゃ観たい。チェ=ミンスク氏の「隻眼の虎」と「バトル・オーシャン 海上決戦」も観たい。「空と風と星の詩人~尹東柱の生涯~」も観たかったのに〜
たんぽこ通信 映画五十音リスト
[0回]
PR