出演:トーマス=ラース(グレゴリー=ペック)、ベッツィ=ラース(ジェニファー=ジョーンズ)、ほか
トーマス=ラースは家庭の事情でUBC放送に転職するが、かつての部下とそこで再会する。そして、イタリアでラースが子どもまで生ませた女性、マリアが生活費に困っているという話を聞くが…。
ちゅうか、そこに至るまでの筋が延々と長く、いったいこの映画の落としどころはどこなのだろうと思い始めたところで、最初の方で登場したイタリアの現地妻マリアが、子どもも作ったけど、金に困っているから助けて、という話が中盤過ぎてから登場するのであります。いや〜、それまでのトーマスくんのおばあさんが、怪しい遺言書を残していた話とか、UBC放送の社長の娘が、よくない噂の男と駆け落ちしたとか、そういう話はいったい何だったんじゃ〜!と思うぐらい、本題に至るまでがだらだら長いです。そういう意味では駄作と言ってもいいでしょう。
いや、むしろ、トーマスくんが理解ある妻に現地妻の話をしでかした時には、たきがは、正直になるにもほどがあるし、これで奥さん、死亡フラグ立ちまくりか〜ッ?!と思って疑いませんでした。つまり、この映画は「欲望という名の電車」とかの系統であると思って疑わなかったわけです。
しかし、娘の挙動が怪しいと言われ、心臓に持病のあるUBCの社長も結局死ななかったし、死亡フラグ立ちまくりの奥さんも無事だったし、あまつさえ、現地妻のことを聞かされて半狂乱になったのに、ラストでむしろ理解ある発言をしてしまう!という驚きのおちで、テーマは何だったのか、そもそも、ラースくんの遺産を巡る騒動とか、社長の話って、このラストにどう関係あるの的なエピソードはどうなのと思いました。いや〜、無駄に長いですよ。いや、社長は、仕事一筋の人間なので、家庭的なラースくんと対比するためにいたのかもしれませんが、だからといって現地妻の存在を「君に理解してほしい」って、どんなに自分勝手な夫なんだ、げふんげふん。
思えば、グレゴリー=ペック氏が、発狂しちゃう(たきがはは、落としどころはラースくんが正直すぎて、すべてを失うんだと思って疑いませんでした)ような役柄なんかやるはずないんだよね〜
この時代のハリウッドって、主役やる人はあくまでも品行方正といいますか、ま、善人しかやらんのよ。だって、「ウェスタン」でヘンリー=フォンダが悪役やったってだけで観客からそっぽ向かれたって聞きましたもん。わしは、あの映画はチャールズ=ブロンソンが主役で、あれで好きになったもんで(またヒロインを演じたクラウディア=カルディナーレさんのハリウッド女優にはない野性味も格好良かった! クラウディア=カルディナーレさんはイタリアの女優さんです)、逆にヘンリー=フォンダの悪役はすごみがあって良かったと思ったんですが、たきがはのように「
高橋英樹に悪役をやらせる会」というのはあの時期のハリウッドには逆行する考え方だったんでしょうなぁ。
それにしても、この映画、あちこちで中途半端で、無駄に長い。ま、黄金時代のハリウッドにも、玉石混淆はあったという話です。
UBCにラースが就職できたのも精神病の話から来てたんで、ラスト、精神病院の病室でラースが窓から外をぽかんと眺めているなんてんだったら、凄かったのになぁ。ま、グレゴリー=ペック氏が間違ってもそんな汚れ役をやるとは思いませんけど。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
[0回]
PR