出演:フィンチ弁護士(グレゴリー=ペック)、ほか
筒井百々子さんの名作「ものまね鳥シンフォニー」のタイトルロールにあるものまね鳥とは、この映画の原題であるMocking Birdというツグミを表面上は指しています。そのつながりで観てみたかった映画。
まだ黒人差別の色濃く残る南部の町。スカウトとジェムの父は弁護士で、強姦容疑をかけられたトムを弁護することになる。しかし、被害者の父親を初め、黒人蔑視は根強く、裁判のために町に帰ってきたトムはあわや暴漢に殺されそうなほどだ。そんな中、黒人を弁護するフィンチへの嫌がらせは娘のスカウトにも及ぶが、果たして、トムの無実ははらされるのだろうか?
このトムの裁判と並行して描かれるのが、フィンチ一家の隣人、鎖につながれているというブーの存在。子どもたちはおもしろ半分に、また度胸試しにブーの家をのぞきに行ったりするけれど、ブーはいったい何者なのか、という興味も話を引っ張らなくはないんですが、ちょっとラストは唐突な印象も。
トムの弁護を行うフィンチが、左腕の動かないトムが、被害者の右側を殴れるはずがないこと、むしろ被害者の父親が左ききであること、などを証明するにとどまり、はっきりとトムは無罪だと言えない(ように思える)のが、この町ばかりか、アメリカ南部に根づく黒人差別への現れなのかな〜と思いました。
そう言えば、先日、オバマ大統領がヘイト・クライム(憎しみ、つまり、差別や偏見に端を発する犯罪)を禁止する法案だったかを通したと記憶しておりますが、そんな時代から見ると、この映画は1950年代ぐらいのはずなのに、ずいぶんと時代がかったように見えるのだなぁと思ったり。
なんですか、Wikipediaで検索していたら、フィンチ弁護士が2003年ぐらいのアメリカのヒーローで、インディ・ジョーンズとかを抑えて1位に選ばれたとか何とかかんとか。こんなことは過去のことで、もう終わりにしたいと思っていての選出ならばいいなぁ。自覚していて、でも、本音では人種差別とか言っているとかいうのはないといいなぁ。そういう精神で選ばれても、フィンチ弁護士ならぬグレゴリー=ペックさんは浮かばれないだろうなぁと思ったり。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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