サマンサ=パワー著。星野尚美訳。ミネルヴァ書房刊。
集団人間破壊というより、訳語ジェノサイドの方がなじみがあるような気がします。
ホロコーストの生存者レムキン教授による集団人間破壊禁止条約の成立から、第二次世界大戦後、世界で起きた集団人間破壊について書いていますが、わしが読みたいと思っていた各々の集団人間破壊について、というより、各地で起きる集団人間破壊において、アメリカ政府がいかに無策だったか、どう関与を逃れようとしたか、を描く方に重点が置かれているように感じました。
そういう意味では副題の「平和維持活動の現実と市民の役割」はあまり適したものとはいえません。むしろ原題の「America and the Age of Genocide」をきちんと訳してくれればいいのになぁと思います。
ただ、そういう点は差し引いても、イラクでのクルド人、カンボジア、ボスニアでのモスリム人、ルワンダでのツチ族、コソボでのアルバニア人への集団人間破壊についてはよく知ることができる本ではあります。
それにしてもこの本、本文が489ページと厚く、+序文が14ページと500ページ以上の本です。さらに文末に索引と註が100ページ以上です。最近、こういうノンフィクション系の本は読み慣れていなかったもので、えらく読み通すのに時間がかかってしまいました。むぅ、たきがはの読書の能力が落ちているということかもしれない。やっぱり本から離れると駄目だなぁ。特にネットで長文読むの、辛いもんなぁ。
と思っていたら、
密林の書評で「翻訳がまずい」という一文を発見。わしも興味を覚えた「人間破壊の原野」って映画ってなに?と思って、ぐぐったらひっかかったのですが、なんと「キリング・フィールド」のことだって! うーむ、わしも著作を読んだことのあるプリーモ=レーヴィ氏のことをプリモ=レビって書いていて、こと外国の人の名前はみんな、自分の読むように音訳するからなぁと思っていたら、そこら辺もあやしそうな感じ? 私的にはこの手の本にしてはちょっと誤字脱字が目立つのが気になったけどね。
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