金庸著。岡崎由美監修。小島瑞紀訳。徳間書店刊。全7巻。
いよいよクライマックスに近づいた第6巻ですが、
またしても持ってもいない煙管をぽんぽんと叩きたい気分です。
サブタイトルは「妖人 東方不敗」です。これ、最大のミスリードでしょ。表紙の人物も東方不敗っぽいですが、ラスボスだと思っていたんですが、わずか1章で退場しました
ガ━━━(゚Д゚;)━( ゚Д)━( ゚)━( )━(゚; )━(Д゚; )━(゚Д゚;)━━━ン!!!!!凄まじく強かったですが。なにしろ仁我行、向問天、令狐冲に加え、上官雲という作中でも、この4人の戦力に匹敵するのは各派の総帥クラスじゃないとダメだろという強者相手に、何と、ただ両手に忍ばせた針だけで渡り合い、それでも勝てませんでした。すげぇ。
それでも退場させられたのはこの4人に加えて盈盈(えいえい)がおり、彼女がとっさに機転を利かせて東方不敗に代わって日月神教を牛耳っていた楊蓮亭を傷つけなければ、間違いなく仁我行らは負けていました。何それ。
楊蓮亭は魔教の執事とは思えないような凡人でしたが(武芸がまったくできない)、東方不敗の寵愛を一身に受けており、彼があげた叫び声を東方不敗は無視できなかったからです。つまり、闇討ちです。いくら日月神教の前当主と一緒とはいえ、主人公とは思えぬ卑怯な手段でしたが、それほど東方不敗は強かったのです。
東方不敗は倒され、楊蓮亭も仁我行によって殺されました。仁我行は東方不敗のために片目を失いましたが、当主の座に返り咲き、今一度、令狐冲に誘いをかけますが、そこだけは一本通った主人公です。固辞した令狐冲は前巻の終わりで方証大師や冲虚道人らに頼まれていたこともあり、嵩山派の総帥・左冷禅の武林制覇の野望を阻止すべく恒山に帰って嵩山に向かうのでした。
と、これだけで1章分。すげぇ密度の濃さでした。
ところが東方不敗が1章で退場したぐらいに負けるとも劣らぬ陰謀が武林を襲おうとしていました。左冷禅による五剣嶽派の合併です。
しかし、これが左冷禅も前座に過ぎず、さらなる悪役が控えていたっていうんだから驚き桃の木山椒の木です。
そう、我らが主人公・令狐冲が、今も師父と慕う岳不羣です。1巻で登場した時には「君子剣」の異名のとおり、君子然としたというか、中国で大人(ターレン)と呼ばれるような大旦那っぽい雰囲気を漂わせていた岳不羣でしたが、6巻かけてその野望が徐々に明らかになり、まぁ、作中で令狐冲を破門したり、恒山派の長老だった定閒・定逸師太らが魔教(と思わせて嵩山派だったみたいでしたが)に襲われた時になんだかんだと理由をつけて助けに行かずに徐々に人物を落としてはいましたが、まさかまさかのラスボスに浮上です。
なにしろ左冷禅のように野望をむき出しにしていなかったもので誰も疑ってません。方証大師や冲虚道人だって、左冷禅を負かして岳不羣が五剣嶽派の総帥になったことを逆に喜ぶほどです。用意周到というか、まさか、ここまで腹黒い人物だったとは思ってませんでした。
しかし、その岳不羣、今も令狐冲が破門を解いてもらいたいと請い願っている崋山派の総帥が、左冷禅との戦いでまさかの東方不敗と同じような技を見せたために、ようやく令狐冲も目を覚ましました。
さらに岳霊珊と結婚して婿入りする形になった林平之が久々の登場だと思ったら、えらい人間変わってまして、岳霊珊と好き合っていたはずだったのに、疑心暗鬼の塊になってました。しかも福威鏢局の若旦那で、武芸の腕は大したことがなかったのに、いきなり父母の仇、青城派の余滄海を上回るような腕前です。
それもこれも辟邪剣法を覚えたからで、しかもその辟邪剣法、前巻で東方不敗に仁我行が与えた癸花宝典と同じものと判明しております。つまり、林平之も岳不羣も東方不敗と同じレベルの強敵になっちゃったっていうんだから、さあ大変。しかし、そのために彼らが払った犠牲は、やはり東方不敗と同じものだったのです。
( ゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚) …?!
(つд⊂)ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
( д )
(; Д ) !!
衝撃の展開で次巻完結。
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