青空文庫。
ずーっと太宰治読んでます。やっと最後の小説までダウンロードしたので、あとはひたすら読むだけ。
容姿に自信のない28歳の「私」が、皮膚病を患い、病院に行くまでを描いた短編ですが、次の箇所がすっごくたきがは的に肯けて肯けて、メモしておく次第。
以下、引用開始。
痛さと、くすぐったさと、痒さと、3つのうちで、どれが一ばん苦しいか。そんな論題が出て、私は断然、痒さが最もおそろしいと主張いたしました。だって、そうでしょう? 痛さも、くすぐったさも、おのずから知覚の限度があると思います。ぶたれて、切られて、またはくすぐられても、その苦しさが極限に達したとき、人は、きっと気を失うに違いない。気を失ったら夢幻境です。昇天でございます。苦しさから、きれいにのがれる事ができるのです。死んだって、かまわないじゃないですか。けれども痒さは、波のうねりのようで、もりあがっては崩れ、もりあがっては崩れ、果しなく鈍く蛇動し、蠢動するばかりで、苦しさが、ぎりぎり結着の頂点まで突き上げてしまう様なことは決してないので、気を失うこともできず、もちろん痒さで死ぬなんてことも無いでしょうし、永久になまぬるく、悶えていなければならぬのです。これは、なんといっても、痒さにまさる苦しみはございますまい。
引用終わり。
そうよそうよ、そうなのよ〜!!! (*´・ω・)(・ω・`*) と、日頃、蕁麻疹の痒みに耐えるわしとしては言いたい次第。
[0回]
PR