監督:成瀬巳喜男
原作:川端康成
出演:尾形菊子(原節子)、尾形修一(上原謙)、尾形信吾(山村聡)、尾形保子(長岡輝子)、事務員(杉葉子)、池田(丹阿弥谷津子)、房子(中北千枝子)、絹子(角梨枝子)、ほか
1954年、日本
鎌倉に住む尾形信吾は老いを自覚するようになったが、息子の修一の浮気による嫁の菊子の苦悩と、嫁がせた娘の房子の嫁ぎ先での不和に悩んでいた…。
主題は老夫婦の嫁に向ける情愛なんでしょうが、そうして嫁を可愛がる理由の裏に息子の浮気に対する申し訳なさがあるんで、根本的に息子の浮気を何とかしろよ!というわけで、お父さん、東奔西走します。ただ、お父さん、息子が同じ会社で働いていることからもわかるように、なんちゅうか、根本的に息子に甘いです。うーん、嫁を「子ども」呼ばわりして愛人と毎日のように遊び歩いて、愛人のうちに行って酒かっくらって無理難題を言ったり、蹴ったりするようなバカ息子を雇用し続けるというのもどうかって気もする… ビジネスマン以前に人間として駄目だろう、それ。
あと、お母さんに突っ込まれてますが、お父さん、動くのが遅くて、愛人と別れさせようとした時には、嫁はもうせっかくできた赤ん坊を流してしまっているんですよ。つまり、舅・姑との仲のいい関係を保ち、子どもを育てるということに逃げようとせず、夫婦関係の基本、夫との関係をこれ以上、続けたくないという結論に達してしまうわけです。
ラスト、具合が悪いと言って実家に帰った菊子はお父さんとどこかの公園で待ち合わせ、離婚の意思を告げます。お父さんも、信州の家に帰ると言い出しますが、その場合、房子は夫とよりを戻しそう(お父さんにも菊子にも知られていないが、修一が房子の夫と話し合っているので、完全な駄目人間ではないようですが、妹のことの前に妻を見ろよ!な気もする)なので、鎌倉の家には修一一人が残されるということで良いのでしょうか? (´・ω・`)
そして、タイトルの「山の音」というのは何のことだったのか、最後までわからず。
原作が川端康成で、信吾の菊子に寄せる情愛が美しいと評判のようですが、自分には女房もいて(ただし、本当に好きだったのは今の女房の姉で美人だったし、菊子も美人なので相当な面食い)、菊子にも修一という夫がいての舅と嫁の関係なので、川端康成はやっぱり変態だな〜という結論に達しました。「山の音」は、きっと映画では描かれなかった信州の話なんでしょう、きっと。そのうちに原作も読んでみよう。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
[0回]
PR