青空文庫。
iOS6にアップデートしたら、いままで使っていた「青空文庫を読む」というアプリが使えなくなり、別のアプリをダウンロードして、続きを読みました。
個人的には前のアプリの巻物のように横長になっていて(どっちも縦書き)、読んだ行までずるずるとドラッグしていく方が読みやすかったんですが、元がただのアプリだからアップデートはしてくれなさそうです (´・ω・`)
太宰治が戦時中に自分の故郷、津軽半島一帯を旅するという半分エッセイのような旅行記です。まぁ、何をやっていると言って、旧友を訪ねて、ひたすら酒をかっくらいつつ、津軽の歴史や風土を紹介しているのですが、ところどころに「軍事機密」なるものが顔を出すのが時代を感じさせます。
山場はやはり、育ての親(とは言うが、太宰が2歳の時に14歳で来たので子守と言った方がいいような…)タケを探して小泊を歩き回るところでしょうか。紆余曲折はあったものの、タケに30年ぶりで再会した太宰は、生みの母からは決して得られなかったという無条件の安堵を得て、「親孝行は当然の気持ちだ」といった感想を抱きます。そして、地主の子でありながら、タケのような使用人たちと自分は同類なのだと太宰らしい日陰者のような感想を抱いたところで幕。
ところどころに風土記とか古典が原文のままで入り(「
右大臣実朝」も「吾妻鏡」がまるっと入ったように)、こういう引用の仕方は太宰の特長なのかもしれません。読みづらくて辟易しましたが (´・ω・`)
ただ、好きだから悪口も言う故郷への万感の思いを綴ったこの作品、太宰のなかでは好きな1作だったりします。
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