村上たかし著。双葉社刊。
話題の漫画。どんなものだか気になって買ってみた。
愛犬ハッピー以外は家族も家も失ったおとうさんが、最後の短い旅に出る話。さらに、その後日談を収録。
タイトルの「星守る犬」とは慣用句で、守るとは「見続ける」のような意味がある。転じて、決して手に入らないものを高望みする人のことを指す。
けれど、おとうさんの願いも、ハッピーの願いも、そんなに高望みなことだったのだろうか? 確かにおとうさんは不器用で片づけてしまうには、家族の変化にあまりに無頓着で事なかれだったかもしれない。でも、そんな人は決して特別ではなく、どこにでもいそうなおとうさんだったのだ。
けれど、おとうさんはハッピーとワゴン車以外を失い、一応、おとうさんの故郷に行くという目的はあるものの、待つ人があるわけでもない当てのない旅に出る。
そして、おとうさんとハッピーは、物語の冒頭ですでに明らかにされているとはいうものの、最悪と言ってもいい結末を迎えるのだった。
個人的にはこの続きの「日輪草」のが好きなんだけど、おとうさんの亡骸を弔うことになったケースワーカーの奥津さんが、おとうさんとハッピーの軌跡を逆にたどりつつ、ハッピーの亡骸に、自分の飼っていた犬を思い出すというなかで、もっと恐れずに愛すれば良かったと思い出にふけるところで、じんと来ました。
犬好きの人というより、実際に生き物を飼っている人の心にじんわりと届く話じゃないかと思います。
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