松本清張著。新潮文庫刊。
短編集。標題の「張込み」ほか、7編を収録。
短編のがおもしろかったです。ま、「砂の器」とか「点と線」とか読んでないのばかりなんで、ここはひとつ、清張さん、どんどん読んでみっか。
「張込み」タイトルにもなってるだけに、これがいちばんおもしろかったです。特に事件らしい事件も起きないんですが、逃亡した容疑者がかつての愛人のところに逃げてくるだろうと推測して張り込む刑事の視線が味わいがあります。全然若くないんだけど、大滝秀治さんに刑事の役をやってもらったら、格別な気がしました。ずる…
「顔」愛人を殺した男が、彼女と一緒のところを目撃された男性を殺そうとする話なんですが、実は目撃者は男の顔なんか覚えていなかったのに、男が呼び出そうとした手紙がきっかけで、俳優として成功しようとしている男の顔を映画館で見て、「あっ!」という落ちが秀逸でした。うまい!って手をたたく感じ。
「鬼畜」は緒形拳さん主演で映画になった記憶が。気の弱い男が愛人の子どもを引き取る羽目になって、妻の命じるままに1人ずつ殺していく、その身勝手さが怖い。
といったところが印象的な話でした。
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