カレル=チャペック著。栗栖継訳。岩波文庫刊。
古典的なSF小説です。たまたま目に入ったんで読んでみました。
赤道直下のタナ・マサ島でヴァン・トフ船長が見つけた二本足で歩き、器用な手を持った黒い怪物は、山椒魚のような不気味な姿に似ず、おとなしい性質で、やがて人間の指図のままにさまざまな労働に従事させられていくが、数が増えすぎた山椒魚は、その住処を拡げるべく、陸地を侵略し始める。
1930年代の作なので舞台が古いですが、現代に置き換えても通じる展開はなかなかおもしろかったです。山椒魚は想像の生き物ですが、いろいろなものに置き換えられるという辺り、いろんな作家が似たようなテーマで書いてそうですが、そう来るか!って展開はヨーロッパの小国チェコに生まれた作家のなせるわざでしょうか。
狂言回しかと思ったヴァン・トフ船長があっさり退場しちゃいましたが、そんなものだ。
チャペックが「人類を滅ぼすのは、宇宙の災害ではまずなく、国家・経済・メンツといったもろもろの要因だけなのだ」と言ったのは名言です。
こうなったらチャペックが造語したというロボットが登場する「R・U・R」もぜひ読んでみたいところです。
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