竹宮惠子著。サンコミックス・ストロベリー・シリーズ。全3巻。
まだ続きそうな終わり方だったんでググってみましたが、収録されてない短編がいくつかあるものの、シリーズ自体は未完のようです。
天才ヴァイオリニスト・エドアルド=ソルティ(エドナン)が天才ピアニスト兼指揮者のハンネス・ウォルフガング=リヒター(ウォルフ)との友情と2人がおりなす音楽に、2人の共通の友人であり、シリーズのさまざまなエピソードで狂言回しも勤める評論家ホルバート=メチェック(ボブ)、ウォルフの妹アンリエット(アネット)、さらにエドナンの息子ニーノやウォルフの息子アレンなどの世代も描くクラシック音楽漫画。
主人公2人が天才なことに加えてボブも若き俊英評論家、アネットも妖精の雰囲気を醸し出すモデル兼女優、2人の息子たちも天才と、いい加減、天才にげっぷが出ました。いや、ほんまに。
まぁ、クラシック音楽という、ある種、特別な世界に携わる人びとなんで、そんじょそこらの凡人ではやってられないところもあるんでしょうけど、こうも天才ばかり出るとちょっと退屈。
さらに加えて、ウォルフは心臓に疾患があって若くして夭折、エドナンはスペインからの留学生で一度、フランコ政権打倒のために祖国に帰還と、この当時の少女漫画って、病気は欠かせなかったなぁとしみじみと思いました。
もともとは「エドアルド・ソルティーを記述する試み」とかあったのですが、2巻の終わりには話の主軸は息子の世代に移っているので、自信家で情熱的で天才なエドナンよりも、父親譲りの才能(+伯父がウォルフなのでサラブレッドもサラブレッドな血筋)を持ちながら、控えめな性格に加えて、エドナンのウォルフの忘れ形見アレンへの偏愛もあって、音楽から一時離れたニーノの方に興味が移ったらしく、はっきり「第二部」と言われてますが、こちらが未完です。
たぶん、音楽や父から逃げ出したニーノが、コペンハーゲンで音楽活動を再開、それがボブの目に止まり、最終的に故郷のヴィレンツに戻るところで終わってるのですが、エドナンのような型破りな天才や、ウォルフのような正統派の天才に対し、どういう天才像を描き出すのか、作者の興味が薄れたのかなぁなんて邪推してます。
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