W.ユージン=スミス、アイリーン・M.=スミス。
世界的な報道写真家、スミスご夫妻の水俣の写真集。胎児性患者の娘さんを抱いて、お風呂に入っているお母さんの写真を見た人は多かろう。その写真を撮られた方である。
たきがはがまだ子どもだった頃の水俣と、水俣病と、その周辺の風景。チッソと行政の振りかざす補償金という金の力が、患者さんたちを分裂させ、水俣の地縁を踏みにじった。その罪の重さ。
患者さんの側から写真を撮り続けたユージン=スミス氏が、チッソの社員に暴力を振るわれ、傷つけられ、カメラを壊され、後にそれがきっかけで失明することになっても「原告であると同時にジャーナリストではいられない」と言って、チッソを控訴しなかった、その冷静さ、公平さ。
ここには無数の証言と記録がある。けれど、「字に書かれたものだけで患者さんたちを見てはいけない」と言われたことを肝に銘じて、生の水俣に飛び込んでいこう。
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