といっても、たきがは以上の年代の人でないと知らない人のが多いかも。実は、たきがはもこの人の映画は一本しか見たことがない。「生きる」に登場する、主人公の部下であり、市役所に不満を覚えてウサギのおもちゃを作る工場に就職しなおしてしまう女性である。彼女の持つ生きていくエネルギーに惹かれて、胃ガンで死を宣告されたような主人公は、彼女のそのエネルギーがどこから来るのか知りたいと思い、彼女に無理を言って何回か出会う。彼女はウサギのおもちゃを作ることが楽しいと言う。「まるで日本中の子どもたちと友だちになったようだ」と。そんな生き甲斐のある仕事を市役所に求めてもないと諦めかける二人、その時、主人公が思い出したのは、自分が数多の書類の中に放り込み、いろいろな部署をたらいまわしにされた、汚いどぶ川を埋め立てて、公園を作るよう誓願する主婦たちの陳情書だった。
彼女の出番はそれで終わり、物語も一挙に終盤、主人公の葬式へ動く。けれど、彼女との出逢いがなければ、「生きる」という物語はそれ以上先へ進むことはなかった。
その小田切みきさんがお亡くなりになった。ご冥福をお祈りする。
[0回]
PR