川口慧海著。青空文庫刊。
うちのあいぽんで2200ページの大作です。序文こそ文語体でしたが、本文は口語体なので多少古めかしい口調でしたが読むのは楽です。
鎖国していたチベットに密入国した日本の僧、川口慧海のチベット旅行記です。まんま。
ただ坊主の常なんでしょうが、一般ぴーぽーを救ってやるという上から目線と、大日本帝国のエリートという自負があちこちに顔を覗かせており、読んでて気分悪かったです。
あと個人的には「
この子を残して」の永井隆博士の時も疑問だったんですが、仏陀やイエス・キリストを最上位に置いている宗教者がどうして、それと同等か、あるいはそれより上に天皇(慧海の場合は明治、永井の場合はヒロヒト)を置けるのか、とんと理解できません。まことに日本的と言いますか、神を信仰していながら、それと同じくらいの強さでもって天皇を信じるのは本当に宗教家なんでしょうか? なかには神や仏を信じるあまり、天皇を否定して検挙された宗教家もいたはずなんですが。
時代的にはしょうがない部分もあるんでしょうが、そこがずーっと引っかかってて読んでるのがしんどかったです。
神に救われたくない人間は同じ人間にも救われたくないのです。余計なお世話ってもんですよ。
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