作家の田辺聖子さんが亡くなったそうです。
この人の著作はタイトルしか知らず、読んだのは今日の記事のタイトルにもなってる、こちらの戦中エッセイのみです。うーん、日常系のエッセイとか現代小説はあんまり食指が動かんもんですから…
ですが、その分というわけでもないですけど、このエッセイは何度も読み直してまして、文学少女のお聖ちゃんに共感しつつ、軍国少女が大阪の空襲から目覚めていく様子がおもしろかったのを覚えています。
ただ、全体の9割ぐらいは戦中派のオタク少女の活動とか日常生活が占めてまして、それがだんだん軍事色を強めていく様や、サブタイトルが「私の終戦まで」とあるように敗戦を迎え、負けるはずなどないと教えられていた「神国」ニッポンがいかに嘘くさいものだったかを洞察する様が痛快なところもありました。
それにしても回覧誌を作っちゃうとか、自分の書いた小説に自分を投影させた人物を登場させちゃうとか、オタクが読んだら共感の嵐か青くなるかのどちらかなことは請け合いです。わしはこれで自分の小説に自分を投影させた人物を出すことの薄ら寒さを学習したので絶対にしません。
ご冥福をお祈りします。
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