船戸与一著。文春文庫刊。
新宿を舞台にした連作短編集。
主人公が引退した狩猟愛好家、おかま、高利貸し、右翼の鉄砲玉、棋士崩れ、ホームレス、調理師、元婦人警官とばらばらで、それぞれの展開もバラエティに富んでいて飽きさせません。
わし的には船戸与一初のおかま主人公「夏の渦」がいちばんおもしろかったです。終わり方もいちばんすっきりしてたし。
主人公やそれ以外の登場人物の死で終わる「夏の黄昏」「夏の流れ」「夏の残光」「夏の曙」、死んではいないけれどもっと悪い終わり方の「夏の星屑」は後味が悪かったです。特に「夏の星屑」はわかりやすいフラグを立てちゃったのが興ざめでした。女性が主人公というの船戸小説ではなかったと思うのですが、ちょっと無理があったかも…。
「夏の雷鳴」「夏の夜雨」は主人公も罪を犯しているのですが、よりあくどい連中を訴えるという終わり方は、この中ではすっきりしてました。
いや〜 まさか、船戸さんでおかまが主人公の小説読めると思いませんでしたよ (・∀・)
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