豊浦志朗著。ちくま文庫刊。
副題が「隔離区からの風の証言」です。
豊浦志朗は作家・故船戸与一さんのルポルタージュを書く時のペンネームでしたが、デビュー作「硬派と宿命」と、これだけで終わってしまっているのが残念です。しかもこの本、1977年が初版なもので、さすがに古典ですなぁ。
被抑圧民族、船戸さんが言うところの叛史の担い手たちをアメリカはいかに抑圧し、殺し、暴力を振るってきたのかというルポルタージュ。
アメリカ・インディアン(現ネイティブ・アメリカン)、黒人は有名なところでしょうが、メキシコ、意外なところで日本、さらにヴェトナム難民が揃っております。「
革命児サパタ」なんて映画を撮ったのはもはや欺瞞とか通り越して確信犯でしょうな。
正史には決して語られぬ叛史。内容的には古びた感もありますが、原子力発電を主流とするために完全な警察国家にするとか、先を見通した記述もあって、船戸さんの小説を理解するには是非一度は目を通しておきたい本です。
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