ハン=ソッキュ氏、シム=ウナ嬢主演作のリメイク。山崎まさよし主演。お父さん役に井川比佐志さん、妹役に西田尚美さんを揃え、日本を舞台に置き換え、ラストも異なる話になっとる。
写真屋を営む青年、鈴木は自分の余命が残り少ないことを知らされる。もう誰も愛することはないだろう、そう思った彼の生活の中に近所の小学校に臨時教員として勤める高橋由紀子が入ってくる。最初はフィルムの現像、鈴木を「おじさん」と呼ぶ由紀子は、彼に悩みを打ち明けたり、一緒にアイスを食べたり、店で昼寝させてもらったり、と親しんでいく。けれど鈴木の時間は確実に少なくなっていて、とうとう入院してしまう。そのあいだに由紀子は離れた町の小学校に正規の教員として採用されるが、「おじさん」と離れることを悩み、鈴木に手紙まで書くが、とうとう町を離れることになる。小康状態になり、退院した鈴木は由紀子の手紙に気づく。最後に人を好きになることができたと由紀子に礼を言う鈴木からの手紙を、彼女は涙なくして読めなかった。
たきがは、原案の「8月のクリスマス」は大好きなんすよ。もう、こんなに切ない、優しい眼差しのラブストーリーがあるのか!と涙しぼられたもんです。で、当然、リメイクの話は知ってたんですが、映画もそんなに行かなくなってたし、リメイクなんてもんにはあんまり興味がなかったんですが、ケーブルテレビでかかってたんで「スタンド・バイ・ミー」とどっちを見るか、と思って、見たことのない方を見ました。「スタンド・バイ・ミー」はLD持ってるしね。
まず、ヒロインのキャラが学校の先生、というところで違う。原案は駐車取締員(日本だと交通課の婦警さん?)。何が違うかっちゅうと、学校ですから、当然、生徒がいる。ここでヒロインに絞りきれんわけです。ただ、途中のエピソードなんぞを見てる限りでは、そんなに詰め込みすぎという感じじゃなかったんで、いいかな〜と思ったんですが、ラスト、たきがはがいちばん涙をしぼられた、退院した主人公がヒロインの職場に行く。結局、二人は会えないんだけど、なんちゅうか、その眼差し、手だけでわかる愛しさ、自分はもうすぐ死ぬんだから、彼女に負担をかけちゃいけないとでも思ってそうな、会いたいのに会わない。会って抱きしめて、キスもしたかろうに、あくまで彼氏ではなく、「おじさん」ですまそうとする。こんなに彼女のことが好きなのに、その気持ちも伝えないでこっそりと舞台から去ろうとしている。そこらへんのシーンがありまへんでした。で、ラスト、主人公が死んだことを知らぬヒロインは、転勤もせんもんですから、いつものように写真屋の前を通って、「外出中」の札に嬉しそうな顔をする、というところで終わるんですけど、実はお父さんが写真屋やってて、そのお父さんが外出してるわけなんすね。だから、彼女の期待は結局裏切られるし、最終的には彼女も主人公の死を知るわけなんだけど、それはお父さんから、という間接的なもんであって、彼からの手紙という、より直接的な手段ではないわけです。主人公はヒロインに「ありがとう」なんて言わないんです。
ただ、大きな違いを並べ立てましたが、別にこっちの「8月のクリスマス」も嫌いではないです。これはこれで、地味だけど、いい話です。ただ、二人の話に焦点をしぼってるっちゅうか、そこんところがオリジナルとは違うのね、ということです。
ぜひ、両方を見比べていただきたい。どっちが好きかは好みの問題でいいんでないかと。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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