監督:ジョン=フォード
原作:アーネスト=ヘイコックス
出演:リンゴ・キッド(ジョン=ウェイン)、ダラス(クレア=トレバー)、ドク・ブーン(トーマス=ミッチェル)、カーリー保安官(ジョージ=バンクロフト)、バック(アンディ=ディバイン)、ルーシー=マロリー(ルイーズ=プラット)、ハットフィールド(ジョン=キャラダイン)、ピーコック(ドナルド=ミーク)、ゲートウッド(バートン=チャーチル)、ルーク=プラマー(トム=タイラー)、ほか
見たところ:川崎アートセンター・アルテリオ・シネマ
アメリカ、1939年
今年はジョン=フォード監督の120周年にあたるそうで、その記念にこの映画と「静かなる男」がかかりまして、ジョン=ウェイン・ファンのままとまとめて観に行きました。ジョン=フォード監督いうたら、わしが見ただけでも「
黄色いリボン」「
荒野の決闘」「
我が谷は緑なりき」「
怒りの葡萄」「アパッチ砦」「
長い灰色の線」「
モガンボ」「
ドノバン珊瑚礁」「
荒鷲の翼」「
3人の名付け親」「
リバティ=バランスを撃った男」「
捜索者」と10本以上ありまして、その中でもなぜ、この2本なのかと言ったら、「駅馬車」は西部劇なのでそれ以外のジャンルをもう1本としか考えられず、ここで「我が谷は緑なりき」「怒りの葡萄」「長い灰色の線」はジョン=フォード監督と長年組んできたジョン=ウェインが出演していないので外したとしか思えません。「モガンボ」「荒鷲の翼」は傑作とは言いがたく、「長い灰色の線」も地味だし、「ドノバン珊瑚礁」はそれこそ「静かなる男」の舞台をハワイ近郊に変えたリメイクと言えるからです。あと、監督がアイルランド出身ということにこだわっていたので、そこを舞台にした「静かなる男」を選んだというのもありなのかなぁと思いました。
ジェロニモを初めとするネイティブ・アメリカンの描き方がステレオ的な悪役という点に目をつぶれば、やはり、これは「西部劇」のみならずハリウッド映画の傑作の1つに数えていいのだと思いました。それぐらい、人間ドラマが秀逸な出来でした。だいたい、登場人物からしたって、
・リンゴ 脱獄囚
・ダラス 町を追い出される女性
・ドク 同じく町を追い出される酔いどれ医師
・ルーシー 騎兵隊大尉の妻で、いいところのお嬢さん
・ハットフィールド 訳ありのギャンブラー
・ピーコック 酒の行商人。一行の中でいちばん普通の人
・ゲートウッド 恐妻家の銀行家
・カーリー 保安官
・バック 御者
と多彩なところを揃え、ふだんならば会うこともないような人びとが、このような非常時に顔を合わせ、同じ馬車に乗り合わせるというシチュエーションがいいです。そういう意味では、味気のない原作がそういう設定になってるんだから、それはそれで傑作と言っていいのかもしれませんが、映画を見た後ではどうにも味気ないのですが。
そして32歳のジョン=ウェインが問答無用に格好いいです。出演者もそれなりに大柄な人が多いんで、ウィンチェスター銃を片手でぶっ放すような、後の西部劇でよく見られるシーンは見られませんが、ダラスに対する扱いとか、ドクや保安官に素直に寄せる信頼とか、ラストの1対3の決闘まで魅力的でした。
ドク役のトーマス=ミッチェルさん、Wikipediaで検索してたら、「風と共に去りぬ」のスカーレットのお父さん役でした。がび〜ん
ハットフィールド役のジョン=キャラダインさんは「怒りの葡萄」のケーシー役だって。えええ〜 ちなみにジョン=ウェインの遺作「ラスト・シューティスト」にも共演してるそうです。
脚本のダドリー=ニコルズさんは「誰が為に鐘は鳴る」の脚本も書いたとか…
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