監督:ジャン=ルノワール
出演:エレナ=ソロコフスカ(イングリッド=バーグマン)、アンリ=シュヴァンクール(メル=ファーラー)、ロラン将軍(ジャン=マレー)、マルタン=ミショー(ピエール=ベルダン)、ミアルカ(ジュリエット=グレコ)、ほか
見たところ:川崎市アートセンター・シネマアルテリオ
フランス、1956年
ポーランドからパリにやってきたエレナ=ソロコフスカ未亡人を巡る3人の男性との恋のやりとりを描くロマンチック・コメディ。
ロベルト=ロッセリーニ監督を追って家族を捨ててローマに行き、ハリウッドから追放も同然になったバーグマンを迎えて、「
どん底」「
大いなる幻影」「
フレンチ・カンカン」などで知られるフランスの名匠ジャン=ルノワール監督が撮った映画ですので、全編これ、バーグマンに捧げる賛歌に満ちあふれているのが潔いです。わしもバーグマンは大好きな女優さんなのでお気楽極楽に楽しみました。むしろ、エレナが最後に誰を選ぶのか、まぁ、選択肢でいったら、アンリがいちばん妥当な線なんでしょうけど、中盤までは財産目当てで富商ミショー(靴屋)と結婚しそうだったんで、そこがいちばんはらはらしました。ここに途中から英雄ロラン将軍が加わって男たちのエレナを巡っての三つどもえが繰り広げられるんですけど、そこはロマンチック・コメディ、泥沼劇には間違ってもなりませんで、フランスの政情とか、ドイツに不時着した軍人の問題とかが絡んで3人は協力し合う関係になり、まぁ、最後はめでたしめでたしな終わり方でした。
ジプシーの歌姫ミアルカ役のジュリエット=グレコさんは本物の歌手で、ラストに見事な唄声を披露、ほかにもオペラ歌手のおばちゃんとか、新聞売りのおねいさんの唄声とか、いきなり踊り出しこそしませんが、かなりミュージカルに近い映画でもありました。
しかし、わしの私論ですが、ミュージカル映画というのは本物のスターがいないと成り立たないジャンルなので、大輪の薔薇のように光り輝く美貌と笑顔で皆を虜にするイングリッド=バーグマンという大女優にはふさわしい映画だったと思います。
たぶん、見に来た人のほとんどがバーグマン・ファンとみたね。
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