この回で終わりでなかった。道理で製鉄所での出来事が長いと思ったら…
ちなみに成人したあつ子を演じたのは歌手の永井真理子さん。「大地の子」以外に一作にしか出ていないので、何で女優として白羽の矢が立ったのかは不明であります。イメージ? しかし一心も再会したあつ子に「面影はない」と言っているので、どういう経緯かは不明です。
相変わらずあちこちに巡回医療に行く月梅奥さん。あちこちの台詞から、今では彼女も婦長になったことがわかります。しかも、一心の生き別れの妹を探す月梅さん。なんていい奥さんなんだ! 一心は果報者だなぁ。
診療隊は4時で終わりですが、その日、診察時間が終わってから訪ねてきた女性患者、張玉花に月梅さんは興味を持ちます。彼女が一心の妹と同じ39歳で、日本人孤児で、火を特に怖がっている(一心に聞いた?)からです。彼女は北京の近郊にある古城県に住んでいる貧農の嫁で、小さい時に買われてきました。5人の子どもを全て死産し、夫は亡くし、触診でも声を上げるような腰痛を患っています。
しかし、玉花が最初の日以外、来なかったので、北京に帰る前日に月梅さんが訪ねると、あの激痛を抱えたまま、彼女は養母と人力で畑の土起こしをしているのでした。
そして場面変わって上海の製鉄所建設地。党の方針で製鉄所の建設が中断され、一心も松本さんも養生作業を見回っています。
松本さんから煙草をもらった一心は、松本さんの中国語に東北なまりがあることを指摘し、「あなたもそこの生まれで?」と訊かれますが、応えずに去ってしまいます。自信を持って言っちゃっていいと思うんですが、根が正直な一心は、言えないようです。あと、残留孤児だということは日本側は知らないわけですから、下手に言って騒がれたくないという思いもありそうです。
そういや、一心、この前に密告されて、箱根で日本の地理に関心を持ったことを訴えられてました。でも楊(きっとヤンと読むんだ)所長には子どもの頃の記憶がないと話しているほど信頼しているので、正直に話す一心でした。可愛がられる時は可愛がられるタイプですな。
で、電車の中であつ子の夢を見た一心はデッキに出ます。月梅さんからの手紙(一心は北京住まいなので単身赴任の模様)で、玉花が実は結核性脊髄炎を患っており、余命が長くないと知らせてきたのです。で、早速、玉花に会いに行くのかと思ったら、この電車は北京に帰る電車で、丹青と再会します。家族のことを訊ねられて、先日は冷たく突き放した一心でしたが、父親が更迭されたという噂も聞いてますんで、ちょっと優しくしてあげるのでした。
でもさ、丹青がそうやって話しかけてきてるのは、今の旦那とも幸せな家庭生活を築いていないので、あわよくば昔の男とよりを戻したいって下心があるからだと気づいてなさそうなのが一心です。
相変わらず、その様子を見つめる馮長幸。こうして見ると、単に一心に対する嫉妬だけに見えるんだよね。
さて、いよいよ玉花を訪ねた一心は、月梅さんが書き留めた中国語ではないと思われる単語を訊きます。「タアマ」「シイロウ」「カウジャン」です。
しかし玉花はそれぞれ「タマ」「シーロ」だと答えます。どちらも小さい頃に飼っていたペットの名前で、そう言えば、第1部で開拓団が避難する時に松本家で飼っていた犬を置いていきました。真っ白な子犬で、確か「シロ」と…「カウジャン」は「カウチャン」だそうですが、何のことかまでは言いません。「カアチャン」?
一心も記憶を甦らせます。「シーロ」ではなく「シロ」だと言い、お守り袋を取り出す一心。渡された玉花は最初は覚えがないようでしたが、やっぱり第1部で勝男が結び直してやった結び目で思い出し、自分のだと言い出します。
そこで一心は玉花が言ったという日本語と思しき単語の3つめ「カウジャン」が、「かっちゃん」だと気づき、それが自分の愛称だったことを思い出すのです。
34年(36年と一心がつぶやいているんですが、それって月梅さんが玉花を見つけてから2年も経ったってことか?)もの歳月を経て、ようやく再会した兄妹。
ここでたきがはの涙腺は毎度、決壊するのでした。
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この話で、一心って、いろいろと酷い目に遭っているんですよ。労改にも行ったし、差別もずいぶんされたし。でも家庭的には恵まれている。最高の両親を得られました。その分、一心も負うはずだった不幸を全部、あつ子が負わされてしまったようで、しかも上川さん、永井さんの熱演もあり、すごく盛り上がるシーンなんです。ここ。放映当時はビデオに録っておいてもらったもんさ。
その後、玉花は月梅さんの奔走により、古城県の人民病院に入院でき、一心が見舞いに行くと、だんだん痩せていってますが、日本語を教わったりと、失われた歳月を取り戻そうとするかのように2人は一時を過ごすのでした。
一心は玉花の養母にも会いに行きますが、話はできず、白菜だけもらって帰ります。玉花は「日本に帰りたい」と言うのですが、養母を置いていけないと言う。原作ではこの養母、玉花に最後まで冷たかったらしいんですが、たきがは、きれいに忘れてます。玉花は養母に育ててもらった(でも学校には行かせてもらってない)恩があるので置いていけない。でも帰りたいと言って泣きじゃくるのです。
ところが、ようやく製鉄所の建設が再開したと思ったら、玉花の容態が急変、もともと末期だったのでしょう、家に帰されてしまいました。
一心がすっ飛んでいくと、玉花は死に装束を着せられ、床に寝かされていました。寒いと訴える妹をオンドルに寝かせようとすると、養母は「そんなことをしたらこの編み目(オンドルに敷いてある藁)の数だけくぐらないとあの世に行けない」と風習で断ろうとしますが、一心、強引に寝かせてしまいます。大声で嘆く養母。一応、ちゃんとした風習で葬ろうってんだから、それなりに可愛がっていたというべきか、5人も子どもを死産した上、産後1日で働かせたんだから、まぁ、貧乏だししょうがないというか、なにしろ、一心の分も不幸を背負ったような玉花が「母さんはもっと大変」と言うのは、養女としての引け目だけではないと思いたいところです。
そして一心は妹を北京の自宅に連れていこうとして負うのですが、こんなところで次回に続く〜!
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